精神科訪問看護に興味はあるものの、給与や仕事内容などの情報について詳しく知らない方もいるかもしれません。実は訪問看護の中でも、精神科訪問看護は需要が高く、比較的儲かるとされている仕事です。
本記事では、精神科訪問看護のニーズが高まっている理由や、精神科訪問看護師の平均年収、主な仕事内容などについて解説します。
精神疾患を抱えた人をケアする精神科看護の現場は、徐々に病院から在宅へ移行しつつあります。厚生労働省の「訪問看護療養費実態調査」によると、精神科訪問看護基本療養費の算定を受ける事業所の数は、2017年から2021年にかけて約2倍に増加しています(※)。
年度 | 2017年 | 2021年 |
精神科訪問看護基本療養費の算定事業所数 | 2,569カ所 | 4,915カ所 |
精神科訪問看護基本療養費の算定事業所とは、主に精神科訪問看護ステーションなどの施設のことです。上記の表の通り、精神科訪問看護ステーションの事業所数が2倍に増えた結果、精神疾患のある人を在宅でケアする受け皿が広がりつつあります。
コロナ禍による外出自粛も影響し、精神科訪問看護はなくてはならない存在になりました。自分のやる気やスキル次第で、活躍の場がどんどん広がるのが精神科訪問看護の特徴です。
精神科訪問看護は精神科のある病院の他、自治体の指定を受けた訪問看護ステーション(事業所)でも行われます。ここからは訪問看護ステーションで働く看護師の平均年収や、精神科訪問看護の給与水準、インセンティブの有無などについて解説します。
看護師には、病院、診療科、介護施設、訪問看護ステーションなど、さまざまな勤務場所があります。精神科訪問看護では、主に病院や訪問看護ステーションが勤務先となることが一般的です。
日本看護協会によると、訪問看護で働く看護師を含めたフルタイム(正規雇用職員)の看護師の平均年収は以下の通りです(※)。
勤務場所 | 平均基本給額 | 平均税込給与総額 | 平均年収 |
病院 | 277,696円 | 386,046円 | 4,632,552円 |
診療所 | 259,062円 | 354,563円 | 4,254,756円 |
助産所 | 240,250円 | 371,675円 | 4,460,100円 |
行政 | 314,765円 | 397,324円 | 4,767,888円 |
訪問看護ステーション | 269,811円 | 367,775円 | 4,413,300円 |
介護施設 | 257,822円 | 346,236円 | 4,154,832円 |
看護系教育機関 | 340,239円 | 406,168円 | 4,874,016円 |
その他 | 294,867円 | 364,930円 | 4,379,160円 |
※平均年収は平均税込給与総額を12倍して計算
※参考:日本看護協会. 「2021年看護職員実態調査」P16
病院で働く看護師の平均年収は約463.3万円、対して訪問看護ステーションで働く看護師の平均年収は約441.3万円です。訪問看護ステーション勤務よりも、病院勤務の方が平均年収がやや高い理由の一つは夜勤の有無です。
訪問看護ステーションでは、24時間対応のステーションを除いて、夜勤や残業がほとんどありません。夜勤手当や残業手当がない分、病院勤務よりも給与水準が低くなる傾向にあります。
しかし訪問看護ステーション全体で見ると、精神科訪問看護は平均年収が比較的高く、儲かるといわれている仕事の一つです。その理由はやはり、精神科のケアが行われる場が在宅に移行しつつあり、精神科訪問看護の需要が高まっている点が挙げられます。
より高い年収を目指すなら、24時間対応の訪問看護ステーションを勤務先に選ぶのもよいでしょう。オンコールがある訪問看護ステーションなら、オンコール手当が支給されます。オンコールとは、夜間における緊急対応のことです。オンコール担当の訪問看護師は勤務終了後、自宅で待機し緊急の呼び出しに備えるのが一般的です。24時間、電話対応可能な状態で過ごさなければならない他、遠出や飲酒も控える必要があります。
全国訪問看護事業協会の調べによると、オンコール対応をすると1回につき1,000~3,000円を目安にインセンティブが得られます。例えば、毎月3回のオンコール業務をこなしたとすると、1カ月につき3,000~9,000円の給与アップが見込めるでしょう。オンコール手当にどの程度支払っている訪問看護ステーション(事業所)が多いのかを知りたい方は以下の表をチェックしてみてください(※)。
オンコール手当 | 事業所の割合 |
1,000~2,000円未満 | 34.2% |
2,000~3,000円未満 | 31.0% |
3,000~4,000円未満 | 10.1% |
5,000円以上 | 4.1% |
※看護師が一人で待機している場合または第一担当者のオンコール手当の平均
※参考:全国訪問看護事業協会. 「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」P8
先述したようにオンコール業務は、利用者や家族からの緊急呼び出しに24時間体制で対応する仕事です。24時間対応の訪問看護ステーションで勤務すると、給与が高くなる可能性はありますが、身体的な負担も大きくなる点に注意しましょう。
精神科訪問看護は24時間対応の訪問看護ステーションで勤務する場合を除けば、病院で働く看護師と比べて、夜勤や残業が少なく、身体的な負担が少ないといわれています。しかし精神科訪問看護には、他の看護にはない仕事もあります。
例えば、利用者だけでなく訪問先の家族に対するケアや、利用者の社会復帰を支援する自立支援などの取り組みなどです。厚生労働省によると、精神科訪問看護のケア内容は大きく8つに分けられます(※)。
● 日常生活の維持/生活技能の獲得・拡大
● 対人関係の維持・構築
● 家族関係の調整
● 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
● 身体症状の発症や進行を防ぐ
● ケアの連携
● 社会資源の活用
● 対象者のエンパワーメント
利用者の症状悪化を防ぐため、バイタルサインを測定したり、服薬管理を行ったりする点は一般的な看護と変わりません。その他に精神科訪問看護では、利用者の対人関係を構築・維持するためのコミュニケーションや、家族関係の調整を含めたケアなども重視されます。
精神科訪問看護は他の看護よりも楽というイメージがあるかもしれません。先述した通り一部のケースを除いて、実際に身体的な負担が比較的少ないのは事実ですが、精神科訪問看護ならではの仕事や意識すべき内容があることも知っておきましょう。
最近では精神科訪問看護のニーズが高まっており、精神科訪問看護は比較的儲かるといわれています。特に24時間対応の訪問看護ステーションなら、オンコール手当が加算されるため、さらなる給与アップが期待できるでしょう。
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