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訪問看護も対象となる自立支援医療とは?対象となる人や医療の範囲を解説

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訪問看護も対象となる自立支援医療とは?対象となる人や医療の範囲を解説

自立支援医療(自立支援医療制度)は、医療費の一部を国が負担する公費負担医療制度です。訪問看護も対象となるため、精神症状を抱えた人の精神科訪問看護や、身体障害がある人の介護などで利用されています。

自立支援医療はどのような人が対象となるのでしょうか。また、具体的にどのような医療サービスが含まれるのでしょうか。

本記事では、訪問看護も対象となる自立支援医療の仕組みや、利用するメリットを紹介します。また自立支援医療の対象のうち、精神通院医療が適用される精神科訪問看護の役割についても説明するため、ぜひ参考にしてください。

訪問看護も対象となる自立支援医療とは?

訪問看護も対象となる自立支援医療とは?

心身に障害を抱えた人にとって問題となるのが、長期間の治療に伴う経済的な負担です。例えば、統合失調症を始めとした精神疾患を抱えた人や、身体障害のある人は、継続的な通院が必要になります。

そこで国が設けているのが、自立支援医療と呼ばれる制度です。厚生労働省では、自立支援医療の目的を以下のとおりであるとしています。

“自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。”

※出典:厚生労働省. 「自立支援医療制度の概要」. “目的”

自立支援医療制度を利用すると、所得に応じて毎月の医療費の負担上限額(自己負担上限月額)が設定され、経済的な負担が抑えられます。通常、医療費の自己負担額は3割ですが、自立支援医療制度の対象者は原則1割が上限です。

自立支援医療の対象となるのは、以下の3種類の医療を受けている人です(※)。

対象者特徴
精神通院医療精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
更生医療身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
育成医療身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

※参考:厚生労働省. 「自立支援医療制度の概要」. “対象者”

現在は症状が落ち着いている方も、再発防止のために継続的な通院が必要と認められた場合は、自立支援医療制度を利用できます。

精神通院医療

精神通院医療とは、精神保健福祉法第5条で定められた精神疾患のある方が、通院などで長期的に治療を受ける場合に適用される制度です。元は独立した制度でしたが、更生医療や育成医療と一緒に統合されました。

厚生労働省によると、精神通院医療の対象となるのは、以下の精神疾患(てんかんを含む)を抱えている方です(※)。

・統合失調症
・うつ病、躁うつ病などの気分障害
・薬物などの精神作用物質による急性中毒またはその依存症
・PTSDなどのストレス関連障害や、パニック障害などの不安障害
・知的障害、心理的発達の障害
・アルツハイマー病型認知症、血管性認知症
・てんかんなど

※参考:厚生労働省. 「自立支援医療(精神通院医療)について」. “1.対象となる方”

こうした精神疾患や障害を抱えている方が、入院以外の治療(通院や訪問看護)を受ける場合、自立支援医療を利用できます。

更生医療

更生医療は、身体障害者手帳の交付を受けた方で、18歳以上の方が身体的な障害を継続的に治療する場合に適用される制度です。例えば、肢体不自由や視覚障害、内部障害などの障害を抱えた方が制度の対象となります(※)。

身体障害治療例
肢体不自由関節拘縮人工関節置換術
視覚障害白内障水晶体摘出術
内部障害心臓機能障害弁置換術、ペースメーカー埋込術
腎臓機能障害腎移植、人工透析

※参考:厚生労働省. 「自立支援医療制度の概要」. “2 対象者”“対象となる主な障害と治療例”

育成医療

育成医療は、身体に障害を抱えた18歳未満の児童を対象とした制度です。育成医療の対象となる身体障害は更生医療と同様、肢体不自由や視覚障害、内部障害などです(※)。

精神疾患や身体障害は、高額な治療を長期的に渡って継続する必要があり、本人や家族にとって経済的な負担が大きいという問題点があります。自立支援医療は、心身の障害に苦しむ人を支援するセーフティネットとして機能しています。

※参考:厚生労働省. 「自立支援医療制度の概要」. “2 対象者”“対象となる主な障害と治療例”

自立支援医療の対象となる医療サービス

自立支援医療の対象となる医療サービス

自立支援医療の対象となるのは、医療機関に入院せずに提供される医療サービスです。例えば、通院での治療や外来での投薬(薬局)、訪問看護、デイケアなどが自立支援医療の範囲に含まれます。

ただし、公的医療保険の対象でない治療は自立支援医療の対象になりません。精神疾患や身体障害の治療と並行し、別の疾患の治療を受けた場合も、関係のない疾患の医療費については軽減を受けられない点に注意してください。

また、医療機関によっては、そもそも自立支援医療の制度利用自体ができない場合もあります。自立支援医療を利用できるのは、都道府県の指定を受けた指定自立支援医療機関のみです。

“本制度による医療費の軽減が受けられるのは、各都道府県又は指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」(病院・診療所、薬局、訪問看護ステーション)で、受給者証に記載されたものに限られています。”

※出典:厚生労働省. 「自立支援医療(精神通院医療)について」. “6.本制度で医療を受けられる医療機関や薬局について”

例えば、訪問看護を利用する場合、指定自立支援医療機関が運営するステーションしか自立支援医療の対象となりません。指定自立支援医療機関かどうかは、直接医療機関に問い合わせるか、都道府県の担当課や精神保健福祉センターなどで確認できます。

自立支援医療を利用するメリット

自立支援医療制度を利用するメリットは以下の2点です。

・精神疾患や身体障害などの治療費の負担が減る
・自立支援医療の経過的特例を利用できる

精神疾患や身体障害などの治療費の負担が減る

自立支援医療制度を利用すれば、所得区分(市町村民税の納税額)に応じて精神疾患や身体障害などの治療費の負担が減少します(※)。

所得区分基準更生医療・精神通院医療育成医療重度かつ継続
一定所得以上市町村民税:23万5,000円以上(年収約833万円以上)対象外対象外2万円
中間所得2市町村民税:3万3,000円以上23万5,000円未満(年収:約400~833万円未満)総医療費の1割または高額療養費(医療保険)の自己負担限度額1万円
中間所得1市町村民税:3万3,000円未満(年収約290~400万円未満)5,000円
低所得2市町村民税非課税(低所得1を除く)5,000円
低所得1市町村民税非課税(本人または障害児の保護者の年収80万円以下)2,500円
生活保護生活保護世帯0円

例えば、年収が約290~400万円未満の方の場合、更生医療・精神通院医療の自己負担額が原則1割、育成医療の自己負担額が毎月5,000円までとなります。医療費の軽減によって、通院治療や訪問看護をますます受けやすくなるのが、自立支援医療制度のメリットです。

自立支援医療の経過的特例を利用できる

自立支援医療には、令和6年3月31日まで利用可能な経過的特例があります。経過的特例は、育成医療を受けていて保護者の所得区分が「中間所得」の人と、所得区分が「一定所得以上」で「重度かつ継続」的な治療が必要な人を対象として、さらに医療費の負担を軽減する仕組みです(※)。

例えば、精神通院医療の場合、統合失調症など、高額な治療を長期間に渡って継続しなければならない疾患が「重度かつ継続」に該当します。自立支援医療の経過的特例を利用し、経済的な負担を少しでも減らしましょう。

※参考:厚生労働省. 「自立支援医療制度の概要」. “自立支援医療の経過的特例について”

自立支援医療(精神通院医療)が適用される精神科訪問看護とは

訪問看護も自立支援医療の対象となる医療サービスの一つです。訪問看護の中でも、精神疾患を抱えた人をケアする精神科訪問看護が自立支援医療(精神通院医療)の対象となります。

精神科訪問看護とは、精神的な症状を抱え、通院での治療が難しい人の自宅を訪問し、看護ケアを提供するサービスです。精神症状の悪化を防ぐためのケアだけでなく、精神症状に付随する身体症状のケアや、日常生活を維持するためのサポート、コミュニケーション能力の維持向上なども行っています。

自立支援医療制度では、症状が「重度かつ継続」を対象として、医療費の軽減を行っています。精神科訪問看護の場合、「重度かつ継続」に当てはまるのは、例えば統合失調症などの疾患です。

厚生労働省の統計によると、精神科訪問看護を利用する人の主病名(主たるケアの対象)の63.5%が、「統合失調症・妄想性障害」です(※)。つまり、精神科訪問看護を受ける方の多くが自立支援医療制度の対象となっており、精神科訪問看護と自立支援医療制度の間には密接な関係があります。

※参考:厚生労働省(一般社団法人 日本精神科看護協会). 「精神科訪問看護に係る実態及び精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける役割に関する調査研究報告書」.“6)主病名

利用者の自立を支援する精神科訪問看護の役割

精神科訪問看護では、利用者が精神疾患を克服し、自立した暮らしを送れるようにサポートする自立支援も行っています。例えば身なりや衛生面など、身の回りのことを自分でするためのセルフケア支援や、社会生活を送るための社会復帰支援、仕事に就くための就労支援が一例です。

不眠症などが原因で昼夜逆転状態に陥った方や、引きこもりがちな方に対しては、外出支援も行っています。自立支援医療制度に関連して、精神科訪問看護の自立支援についても知っておきましょう。

自立支援医療は訪問看護を利用しやすくするための制度

自立支援医療は、国が創設した公費負担医療制度の一種で、精神疾患や身体障害の継続的な治療が必要な人を対象としています。精神通院医療・更生医療・育成医療を行っている人は、自立支援医療を利用し、医療費の負担を抑えることが可能です。

例えば、通院治療や訪問看護、デイケアなどの医療サービスが自立支援医療制度の範囲に含まれます。精神疾患を抱えた人を看護する精神科訪問看護も、自立支援医療の対象の一つです。将来、精神科訪問看護で働こうと考えている方は、自立支援医療の仕組みについて簡単に知っておきましょう。

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