精神科訪問看護師の仕事は、精神科病棟や心療内科クリニックで勤務経験がある方や一般的な方も看護師として勤務してきた方でも、内容が大きく異なると感じる部分があります。そのような違いは、精神科訪問看護師へ転職を希望する場合、志望動機の書き方にも反映することができるでしょう。
今回は、精神科訪問看護師の仕事内容や特徴、やりがいとともに志望動機の書き方を例文とともにご紹介します。
そもそも精神科訪問看護とは、精神疾患を持つ患者さんの自宅へ定期的に訪問し、病状の管理服薬管理、悪化の予防、日常生活が送れるようになるためのサポートなどを行います。
精神科の訪問看護をする際は、一般的に患者さんが住み慣れた自宅へ訪問するケースが多いですが、ケアホームなどに行く場合もあります。患者さんやご家族が起きている際に訪問するので、基本的に夜勤がありません。
ただし、勤務先が提供しているサービス内容によっては、オンコール担当になった日だけ呼び出しに都度対応する必要があるでしょう。
求人応募の際に必ず聞かれるのが、志望動機です。とりわけ精神科訪問介護は専門性が高いので、なぜこの仕事を選んだのか・長く続けられるのかなど、熱意をチェックするポイントとしてもよく見られるでしょう。
では、精神科訪問看護師の仕事を希望する方はどのように志望動機を作成すればいいのでしょうか。作成の際のポイントを解説します。
過去に精神科の看護経験や訪問看護師としての経験がない場合は、まず興味を持った理由を伝えましょう。精神科訪問看護は、他の訪問看護や病棟看護と異なる部分が多い仕事内容です。
学べる点や積める経験、働き方などのポイントの中から、特にご自身が興味を持った点について深掘りして書ければ、熱意が伝わりやすいです。
また、志望動機では適性も見られることが多いので、過去の看護経験や適性などから、精神科訪問看護に向いているところや生かせるところを交えて志望動機を作るのも良いでしょう。
精神科は専門知識を学ぶ機会もあるので、専門職を目指す看護師にとって学ぶことが多いものです。精神科訪問看護を通して認定看護師や臨床心理士などの専門職を目指しているなど、資格取得を目指していることを伝えて学ぶ意欲をアピールするのもポイントの1つです。
前述の志望動機のポイントを踏まえても、実際に熱意や経験を文章にするのは難しいものです。ここでは精神科訪問看護師として転職を希望する場合に参考にしてただきたい、志望動機の例文をご紹介します。
精神科での勤務経験がある場合、ない場合それぞれの志望動機の例文に分けてご紹介するので、ご自身の状況に合わせてご覧ください。
訪問看護にかかわらず、過去に精神科での勤務経験がある場合は、その経験を盛り込みましょう。その上で、訪問看護を選択する理由も併せてアピールするのがおすすめです。
【例文1】
・精神科病棟で3年間勤務してさまざまな疾患、症状の患者さんに対応し、精神科看護での経験を積んで参りました。精神科看護に関する知識を学ぶ機会を得られたことで、もっと患者さんに寄り添った看護を提供したいと考え、精神科訪問看護師を志望いたしました。これまでの経験を活かし、患者さんやそのご家族をサポートしていきたいと思います。
【例文2】
・心療内科クリニックで看護師として多くの患者さんと関わった経験を活かして、一人ひとりの患者さんと関わりながら看護をしたいと考え、精神科訪問看護師を志望いたしました。スキルと経験を積み、将来的には精神科認定看護師の資格取得を目標に、丁寧な看護をしたいと考えております。
精神科での勤務経験がない看護師は、まず他の科での看護師としての経験を述べます。その中で、職務を通して精神的なケアなどへ関心を持った点を述べましょう。また、精神科看護や訪問看護にこれまでの経験を活かす旨をアピールしてみましょう。
【例文1】
・精神科での勤務経験はありませんが、これまで外科・消化器内科病棟での勤務を経験してきました。外科や消化器内科でも精神疾患を抱えている方の看護をした経験があり、精神的なケアの重要性を感じました。また、退院後の患者さんのケアについても関心を持っていたことから、看護スキルを活かせる場として精神科訪問看護師を志望いたしました。
【例文2】
・これまで約5年間、総合病院の外科病棟で勤務していました。入院患者さんは早く退院して自宅へ帰りたいと希望される方も多く、在宅で訪問看護を利用しての療養生活を希望している方の力になりたいと考えたのが、訪問看護師を志望した第一の理由です。精神科での経験はありませんが、外科病棟での患者さんの変化を見逃さずに臨機応変に対応してきた経験を活かし、即戦力となるために努力したいと考えています。
精神科訪問看護の志望動機を考える上で、押さえておきたいのが精神科訪問看護のやりがいです。未経験者が興味を持ったポイントや経験者が成長させたいスキルを説明する際にも必要な情報なので、しっかりと理解しておきましょう。
同じ精神科看護でも、日々多くの患者さんが訪れる病院やクリニックでは多数の患者さんの対応をしなければならず、時間を取って1人の患者さんと向き合う機会はそう多くありません。
一方で、精神科訪問看護は一人ひとりの患者さんにじっくりと向き合った看護ができる点がやりがいと感じられます。
患者さんの自宅を訪問して看護を提供する訪問看護なら、患者さん1人に集中できるのでその人の症状や環境など深く理解した上で、患者さんとその家族に寄り添った看護や生活面でのサポートが可能となります。
精神科訪問看護は、患者さんと一対一で向き合う仕事です。コミュニケーションの取り方によって、信頼関係を深めたり精神状態が安定したりするので、看護師の対応は患者さんの病状改善に欠かせない大切なポイントの1つです。
そのため、看護師は自分のケアやコミュニケーションによって患者さんの症状が改善していくのを間近で見ることができます。例えば、服用を欠かさず行ってくれるようになったり、外出出来るようになったりする場面に立ち会えるのが、精神科訪問看護のやりがいでしょう。
病院やクリニックへ通院して治療を受けている患者さんと対応していても、その人の生活環境や家庭環境などは患者さん本人から話を聞くしかなく、正確に把握することは難しいものです。しかし、訪問看護は患者さんの自宅での看護となるので、生活環境や家庭の様子を把握しやすいメリットがあります。
患者さんの生活環境や家庭での様子を把握することで、その情報を元にしたより具体的で適切な支援を提供できる点も、やりがいと感じられるポイントです。
精神科訪問看護では、医療機関での診療とは異なり患者さんの生活に根ざしたケアが必要です。そのために、医療機関をはじめとして地域包括支援センターや居住自治体の保健師など、さまざまな機関と連携する機会があります。
医療連携の際には訪問看護師が橋渡しをする役割となるので、病棟勤務とはまた別のやりがいを感じられるでしょう。
精神科訪問看護という仕事を選ぶ際は、他の訪問看護とは異なる特徴をきちんと理解しておく必要があります。ここでは代表的な特徴を3つご紹介します。
一般的な訪問看護では、医療的ケアが中心となります。一方、精神科訪問看護は精神疾患を抱える患者さんの精神的ケアが中心となります。
精神疾患を抱える患者さんの中には身体症状が出ている場合もあるため、まったく医療的ケアがない訳ではありませんが、一般的な訪問看護と比較すると医療的ケアが少ない点が特徴です。
そのため、精神科訪問看護ではバイタルサインの測定などのモニタリングをすると同時に、病状を観察するために患者さんとコミュニケーションを取ったり何気ないサインを見逃さずに気付いたりすることも重要な仕事です。
精神疾患を抱える患者さんの中には、生活環境が乱れている方が少なくありません。生活リズムが崩れてしまうと病状が悪化してしまうこともあるため、精神科訪問看護では患者さんの生活環境を把握し、整えることも含めたサポートを行います。
患者さんの自宅での普段の生活環境を把握した上で一人ひとりの患者さんに合ったケアをしやすい点も、精神科訪問看護の特徴といえるでしょう。
一般的な訪問看護では、患者さんのケアが中心です。しかし、精神科訪問看護は患者さんケアと同時に家族のケアも行う点が大きく異なります。
日常的に患者さんと接する時間が多い家族は、悩みや不安を抱えがちです。訪問看護師は家族からそれらをヒアリングして共有しつつ、情報提供を行います。
家族のケアも行うことで良好な関係を築き、協力しながら訪問看護に適した環境を整えてもらえるでしょう。ヒアリングした内容から、患者さんに適したケアを導き出せることもメリットです。
また、精神疾患を抱えている方は、家族との関係がうまくいっていないことがあり、それが大きな悩みとなっている場合があります。訪問看護師は家族に情報提供をすることにより、家族の悩みや不安を軽減することも仕事の1つといえます。
精神科訪問看護師の仕事は、一般的なクリニック勤務や訪問看護とは異なる内容が多いです。そのため転職を希望する際の志望動機には、なぜ訪問看護師を志望するか、精神科訪問看護を選択するかの理由をきちんと明記しましょう。
本記事で解説した精神科訪問看護師の仕事内容や特徴、やりがいを踏まえて、看護師としての経験と併せてアピールできる志望動機を作成してみてください。
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