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看護師が行うべき精神科医療の安全管理とは?安全管理の対象となる事故の種類も解説

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精神科医療に携わる看護師は、その性質上、安全管理に努めなければなりません。
患者本人だけでなく、看護師を含むその他の人間の安全にも配慮する必要があるので、あらかじめ留意点をチェックしておきましょう。

本記事では、精神科医療に携わる看護師の安全管理について解説します。

精神科医療における事故の種類

精神科医療における安全管理の対象となる事故は、大きく分けて5種類あります。

1. 自殺・自傷行為

1つ目は、自殺・自傷行為です。感情障害や統合失調症などの症状を抱えている患者の中には、自殺願望を抱いていたり、漠然と死を願ったりしている人もいます。日本精神神経学会で発表された調査内容によると、精神科医療施設のうち、実に6割を超える施設が患者の自殺事故を経験していたというデータが報告されています。自殺を試みる患者の中には、過去に自殺未遂・自傷の経験があったなどの予兆が見られたケースもありますが、全体の約3分の1にあたる患者には予兆が見られなかったとされています(※)。

突発的な感情で自殺を試みるケースも多いため、精神科医療施設の多くは自殺予防の取り組みを行っている状況です。また自殺には至らなくても、自身を傷つける自傷行為を繰り返す人もいます。自傷行為と一口にいっても、自殺するつもりで傷つける人もいれば、そうでない人もいるでしょう。ただし後者の場合でも命に危険が及ぶケースもあります。

※参考:精神神経学雑誌. 第104回日本精神神経学会総会シンポジウム「わが国の医療施設における自殺事故の大規模調査Ⅰ─精神科医療施設における自殺事故─」P1

2. 不慮の事故

2つ目は、不慮の事故です。日本は少子高齢化が進んでいる上、精神科医療では入院治療が長期にわたるケースもあることから、高齢患者も少なくありません。加齢による身体機能の衰えなどから、施設内での転倒や階段からの転落といった不慮の事故が起こるケースもあります。転倒や転落は事故の状況によっては命に関わることもあるため、対策を講じることが必須不可欠です。また嚥下機能の低下から誤嚥下を起こす事例もありますが、場合によっては窒息につながるため、入院中の食事にも配慮が必要です。

3. 他害行為

3つ目は、他害行為です。他害行為とは、他人に害を及ぼす行為です。精神科医療の患者の中には、他人とコミュニケーションを取るのが苦手だったり、感情の自制が効かなかったりする人もいます。特に精神科医療施設には長期入院患者が多い関係上、特定の患者とトラブルになるケースもあり、口論に発展したり相手にけがを負わせたりする事例もあります。

精神科医療施設の閉鎖病棟では患者間の傷害が起こりやすく、全体における傷害事件の半数以上を占めているという結果も報告されている状況です。患者間の傷害のうち8割以上は男性同士のトラブルですが、女性が加害者となる事例もあるため、他害行為への安全管理は性別や年齢に関係なく必要です(※)。

なお、他害行為は他の患者相手だけでなく、施設の職員やスタッフに向けられることもあります。患者からの他害行為、あるいはその恐れがある環境は看護師に大きなストレスや不安をもたらし、パフォーマンスの低下や早期離職などにつながる可能性もあるでしょう。

※参考:国立保健医療科学院.特集:医療安全の新たな展望-各論-「精神科医療における安全管理」p2

4. 薬剤の処方・投与ミス

4つ目は、薬剤の処方・投与ミスです。医療施設では治療のための薬剤が処方・投与されますが、その際に薬の種類や数を誤るようなミスが起こる可能性があります。薬剤ミスはどの医療機関でも発生するリスクがありますが、精神科医療の場合、薬剤の種類が多岐にわたるケースが多いです。

症状が安定しない患者が多い状況や、スタッフの人数が少なくなる夜勤に処方・投薬ミスが起こりやすいとされています。薬剤ミスは症状の悪化を招いたり、体質によってはアレルギー反応を起こしたりする危険性もあることから、細心の注意を払わなければなりません。

5. 無断離院

5つ目は、無断離院です。無断離院とは、入院患者が医師の許可を得ず、勝手に病院から出ていく行為です。精神科を患っている患者は無断離院するリスクが高いとされており、かつ院外で何らかの事故を起こすケースも少なくありません。実際、精神科医療施設に入院していた患者の自殺のうち、発生場所が院外であった事例は約半数を占めたという結果も報告されています(※)。

精神科医療施設の場合、入口が施錠されている閉鎖病棟のケースも少なくありませんが、施錠を忘れた隙に無断離院されたという事例もあるため、油断は禁物です。

※参考:精神神経学雑誌. 第104回日本精神神経学会総会シンポジウム「わが国の医療施設における自殺事故の大規模調査Ⅰ─精神科医療施設における自殺事故─」P4

精神科医療で看護師が行う安全管理策

精神科医療で看護師が行うべき安全管理の具体策を5つご紹介します。

1. 危険物の管理徹底

安全管理の具体策1つ目は、危険物の管理徹底です。自殺や自傷行為、他害行為に関しては、紐状のものや刃物といった道具が使われるケースが見られます。精神科医療施設内では、こうした危険物を患者の手に届く場所に放置しないよう、管理徹底することが大切です。

なお、自殺や自傷行為、他害行為に用いられる道具は、身近なものが使用されるケースがほとんどです。例えば、タオルやネクタイ、電気コードを使って首をくくったり、鉛筆やシャープペンなどの筆記用具を使って自傷行為や他害行為を行ったりすることもあります。思わぬ物が凶器となる場合も考えられるため、これまで発生した他院および自院での事故を元に、どのような道具の管理を徹底する必要があるか、慎重に検討しましょう。

2. 事故の記録・分析

安全管理の具体策2つ目は、自院で発生した事故の記録・分析です。例えば転倒事故が発生した場合、誰が、いつ、どこで、どのような状況で転倒したのかを、正確かつ詳細に記録します。一カ月単位でデータを確認して、いつ、どこで転倒事故が起こりやすいのかを分析しましょう。何を行っているときに事故のリスクが高まるのかなどを把握できれば、今後の対策に役立ちます。

3. 看護スケジュールの見直し

安全管理の具体策3つ目は、看護スケジュールの見直しです。2で集計・分析した事故記録の結果に基づき、看護スケジュールを見直します。例えば、患者がトイレに行く際に転倒が起こりやすいと判明した場合、起床時のトイレに介助を付けるようにするなどの対策を講じれば、転倒リスクを低減できます。

4. 患者との相互協力

安全管理の具体策4つ目は、スタッフだけでなく患者とも相互に協力をすることです。

特に薬剤ミスに関しては、患者にも参加してもらうことによって事故リスクを大幅に低減できる場合があります。例えば、処方・投薬時に患者の名前を呼んでしっかり返事をしてもらう、薬の名前や内容を相互で確認しミスがないかチェックするなどです。実際にこうした取り組みを実施した結果、誤薬や注射ミスが減った事例も報告されています。

5. 事故リスクへの認識を改める

安全管理の具体策5つ目は、事故リスクへの認識を改めることです。施設内で発生する事故の中には、スタッフの楽観視が原因となっているケースもあります。「このくらいなら問題ないだろう」「事故が起こるはずがない」という根拠のない楽観的な意識が、うっかりミスや安全管理の怠慢につながり、事故リスクが高める要因になります。医療事故はいつどこで起こってもおかしくないという認識を持ってもらうために、スタッフの教育や指導を行うことが大切です。

精神科医療では安全管理を徹底することが大切

精神科医療では、自殺や自傷行為、不慮の事故、他害行為などの事故が起こりやすい傾向にあります。中には目立った予兆が見られないケースもあるため、看護師は日頃から安全管理を徹底し、事故リスクを抑える取り組みを続けていく必要があります。

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