ナースセブン

ADHDの患者さんに精神科訪問看護を行う際のポイントは?発症の原因や治療方法も解説

- column -
  1. Home
  2. /
  3. コラムTOP
  4. /
  5. 精神科疾患
  6. /
  7. ADHDの患者さんに精神科訪問看護を行う際のポイントは?発症の原因や治療方法も解説
ADHDの患者さんに精神科訪問看護を行う際のポイントは?発症の原因や治療方法も解説

ADHDとは発達障害の一つで、患者さんの行動に不注意や多動性、衝動性などの症状が見られるものです。精神科訪問看護の仕事では、このような症状に悩んでいる患者さんの在宅ケアを担当するケースもあるでしょう。ADHDの患者さんの在宅ケアでは、精神科訪問看護師が患者さんの持つ症状の特徴を理解し、適切に関わっていくことが大切です。

しかし患者さんによってADHDの症状や程度はさまざまです。「ADHDの患者さんへの適切な関わり方を知りたい」「ADHDの患者さんの症状の特徴を詳しく知りたい」と思う方もいるでしょう。

本記事ではADHDの患者さんにみられる症状や発症する原因とADHDの検査方法、精神科訪問看護の在宅ケアで行うADHDの患者さんの治療方法や介入例を紹介します。本記事を読んでADHDの発症の原因や治療方法を知り、看護に生かしましょう。

ADHDとは

ADHDとは

ADHDとは、注意欠如多動性障害とも呼ばれる先天性の発達障害の一つです。一般的に、ADHDの主な症状には「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特徴があります。ここではそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

不注意

ADHDの症状の特徴の一つに「不注意」があります。

不注意の子どもの症状には、勉強にミスが多発したり集中力が続かず先生の話を聞いていないように見えたりするなどがあります。また自分が興味のあることにはのめり込んで集中してしまうのも、具体的な不注意の症状です。

大人の場合の不注意の症状は、仕事でミスを多発したり、時間管理が苦手で約束を守れず遅れてしまったりするなどがあります。自分の持ち物をすぐに失くしたり忘れ物が多かったり、部屋の片付けやオフィスの整理整頓が苦手なことなども、不注意からくる症状でしょう。

多動性

ADHDの症状の特徴には「多動性」も含まれます。多動とは、患者さんに落ち着きがなく常に動いていないと気が済まない状態です。

多動性の子どもには、教室の中で同じ場所に座っていられなかったりずっと喋り続けたりするなどの症状が見られます。

多動性の症状が出ている大人の場合は、待つことが苦手で行動に落ち着きがなかったり、貧乏ゆすりなどで目的なく動いたりするなどの症状がみられるでしょう。仕事の優先順位が分からずに、一つのことに集中できないのも多動性の症状の一つです。

衝動性

「衝動性」もADHDの症状の特徴です。

衝動性の子どもの症状には、先生の質問が終わらないうちに自分の答えを喋り出したり、他の人がしている行動を遮るなど邪魔をしてしまったりする行動が見られます。列に並んで順番を待つことも難しく、つい横入りしてしまうなども衝動性の症状です。

大人の場合は、後先を考えずに思ったことを発言してしまったり、衝動買いを頻繁にしてしまったりするなどの症状がみられるでしょう。

ADHDを発症する原因

ADHDを発症する原因

ADHDは主に幼児期から小学校に通う学童期に発症する方が多いとされています。しかし近年は、成人してから自分が抱えるADHDの症状に気付く方もいます。ADHDを発症する原因はいまだにはっきりと判明していませんが、以下の2点は現時点でADHDを発症すると考えられている主な原因です。

大脳の前頭前野の機能に障害がある

ADHDを発症する原因の一つに、生まれつき大脳の前頭前野の機能に偏りがあることが挙げられます。

大脳の約30パーセントを占めている前頭前野は、人間の行動や思考、注意、自己抑制、コミュニケーションなどに関係する部分です。そのため前頭前野が持つ機能調節に何らかの偏りが生じた結果、不注意や多動性、衝動性などADHDの主な症状が現れると考えられています。

神経伝達物質が不足している

患者さんの脳内の神経伝達物質が不足していることも、ADHDを発症する原因の一つです。

人間の脳内の神経細胞には「シナプス間隙(かんげき)」と呼ばれる隙間があります。この隙間に神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンなどが放出されることで、電気信号が神経細胞に伝わり、結果として人の行動をコントロールできます。

ADHDの患者さんは、この神経伝達物質を作る機能が何らかの理由で低いため、正確に情報が伝達できず、不注意や多動性、衝動性などの行動を引き起こしている可能性が高いです。

ADHDの検査方法

医療機関でADHDを検査する際は、基本的に心理検査や問診を用いることが一般的です。

心理検査に用いられる指標は、アメリカ精神医学会が作成した精神疾患の診断・統計マニュアルのDSM-5や、WAIS-IV知能検査などです。問診では幼少時代の言動、日常動作などの情報を基に、医師が総合的な判断を下していきます。

ADHDの症状を持つ方の中には、うつ病やパニック障害など他の精神的な障害を抱えている方もいます。そのような患者さんは一度の検査や問診でADHDの判断をするのが難しいため、何度か医療機関を受診し、多角的な検査や問診を行ってから診断を下すことが多いでしょう。

また子どもの場合は自分でADHDだと気付きにくいです、そのため親が行動を観察し、気になる症状が強く出ているようであれば、最寄りの医療機関に相談してADHDの検査を受けるようにしましょう。

ADHDを治療する方法

ADHDの治療方法には、主に認知行動療法、薬物療法、カウンセリングの3つの方法があります。

ただしADHDは治療で完全に治せないため「寛解」を目指して治療を行います。寛解とは、継続した服薬やカウンセリングの実施により、ADHDの症状が落ち着いた状態のことです。ここではADHDの寛解を目指した治療方法を見ていきましょう。

認知行動療法

ADHDの治療方法の一つに、認知行動療法があります。認知行動療法とは、患者さんが服薬に頼らずに感情や行動をコントロールできるようにする治療方法です。

治療の中では、ADHDの子どもが衝動や多動を抑えて感情表現・行動ができたときに多く褒めてご褒美を与えるなどして、子どもの脳に「正しい行いができた」と理解・記憶させていきます。この治療を繰り返し行った子どもは、次第に自分でADHDの症状をコントロールできるようになるでしょう。

また認知行動療法には、治療を通じて患者さんが、社会で他者とうまく関わるための社会機能を身に付けていく狙いもあります。後述する薬物療法やカウンセリングと並行して行うこともあるでしょう。

薬物療法

薬物療法もADHDの治療方法の一つです。一般的に薬物療法が行えるのは、医師が患者さんの治療に必要だと認めた場合のみです。

医師によって処方される薬物には、ADHDの症状に有効とされているメチルフェニデート、グアンファシン、アトモキセチンなどがあります。ADHDの患者さんがこれらの薬物を服用すると「集中しやすくなった」や「行動する前に頭で考えられるようになった」などの効果が期待できるでしょう。

しかし薬物療法はADHDの症状を根本的に治療するものではなく、一定期間症状を軽減する目的で行われます。そのため認知行動療法などと並行して、ADHDの症状を緩和しながら、患者さんが生活しやすい環境を整えていく必要があります。

カウンセリング

カウンセリングもADHDの治療方法の一つです。一般的にカウンセリングには、医療機関で行っている集団療法や、個人カウンセリングがあります。

集団療法は同じような症状を抱えているADHDの患者さんが、悩みを共有したり共感したりしながら話し合いをしていく治療です。個人カウンセリングはADHDの患者さんのプライバシーを守りながら、気持ちに寄り添えるカウンセリングを行い、患者さんが自分の精神疾患へ理解が深められるようにサポートします。

精神科訪問看護におけるADHDの患者さんへの介入例を紹介

ADHDの患者さんの症状から医師が必要だと認めた場合、精神科訪問看護の在宅ケアを受けられます。

ここではADHDの症状から自宅の片付けや整理整頓ができず、家が散らかっていた患者さんへ訪問看護が介入した例を紹介します。

この患者さんは、ADHDの症状から家の中の必要な物と不要な物の見分けが付きにくく、家が不要な物で溢れかえっていました。また片付けを始めても、気になる物が見つかると集中力が途切れて片付けを中断してしまうなど、集中力のなさにも悩まされていたそうです。

そこで精神科訪問看護師が訪問時間の限られた時間中にどのような片付けを行うか作業内容を明確にし、患者さんと少しずつ片付けに取り組むようにしました。毎回の訪問時間は短いものの、患者さんとの片付けが習慣化したことで次第に部屋が整頓され、必要な物がすぐに見つかるようになりました。

このケースでは、精神科訪問看護師が患者さんに時間内のゴールをはっきりと認識させ、集中して片付けに取り組みやすい環境を作れたことがポイントです。また患者さんが「自分で片付けができた」と成功体験を積むことで自信につながり、今後の整理整頓のモチベーションにもなります。

このように精神科訪問看護師は、ADHDの患者さん一人ひとりの症状に合わせて、本人の悩みや思いを否定しないように寄り添った在宅ケアを行います。ADHDの患者さんが自分の症状と向き合いながら快適な生活ができるよう、適切なサポートを行えるようにしましょう。

まとめ

本記事ではADHDの患者さんにみられる症状や発症する原因とADHDの検査方法、精神科訪問看護の在宅ケアで行うADHDの患者さんの治療方法や介入例を紹介しました。精神科訪問看護の仕事に興味をお持ちの方や看護師の方でキャリアチェンジを検討されている方は精神科訪問看護師募集サイト「ナースセブン」もご覧ください。

ナースセブンでは、主に「訪問看護ステーションALWAYS」の訪問看護チームに加わってくれるスタッフを募集しています。訪問看護ステーションALWAYSは平成31年1月に発足した訪問看護ステーションで、精神科に特化した患者さんのケアを行っています。精神科訪問看護の仕事に興味をお持ちの方は、ぜひサイトをチェックしてみてください。

精神科訪問看護ステーションALWAYSで一緒に働きませんか?
精神科訪問看護ステーションALWAYS(オールウェイズ)です。
精神病棟勤務経験者・訪問看護経験者を優遇します。
訪問看護経験がなくても大丈夫です。一から丁寧に指導致します。
CONTACTお問い合わせ
ナースセブンをご覧いただき精神科訪問看護について、興味を持っていただいた方は、下記よりお問い合わせください。
応募はもちろんのこと電話でのご質問にも対応いたします。
PAGE TOP