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アルコール依存症の看護のポイントとは

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厚生労働省が2016年に行った調査によると、アルコール依存症の外来患者の数は9万5,579人、入院患者の数は2万5,606人 にのぼっています(※)。また、潜在的なアルコール依存症の患者数は、全国で約57万人 に上るといわれています。

アルコール依存症は再乱用・再発のリスクが高く、治療に時間がかかるのが特徴です。アルコール依存症の看護においても、利用者と信頼関係を築き、長い時間をかけてケアを提供していく必要があります。

本記事では、アルコール依存症の主な症状や治療方法、看護のポイントを分かりやすく解説します。

※参考:厚生労働省. 「依存症は“回復 病気”です」. “主な依存症”

アルコール依存症とは?

アルコール依存症とは、長期間多量に飲酒した結果、アルコールに対し精神依存や身体依存をきたす精神疾患のことです(※)。アルコールは依存性がある物質です。アルコールに依存し、飲酒を長期間に渡って繰り返すと、以下の流れで依存状態になります。

1.習慣的な飲酒を通じて、アルコールに対する耐性が形成される
2.以前の量では効果がなくなるため、徐々に飲酒量が増える
3.精神依存が出現し、「飲酒したい」という強い欲求が生まれる
4.身体依存が出現し、飲酒をやめると手足の震えや発汗などの離脱症状(禁断症状)が発生するようになる

アルコール依存症は、アルコールへの耐性、飲酒量の増加、精神依存の出現、身体依存の出現と、ゆっくりと時間をかけて進行していく精神疾患です。アルコール依存症が悪化すると、手足の震えや発汗などの離脱症状が出現し、ますます飲酒をやめることが難しくなります。

アルコール依存症の方を看護する難しさは、精神依存・身体依存の両面から、飲酒をやめさせるのが困難であるという点です。依存症の治療に取り組んでも、すぐに再乱用・再発してしまう方も多く、アルコール依存症の看護には時間がかかります。

本人とのコミュニケーションを通じて、断酒に向けた動機づけをどのように行っていくかが、アルコール依存症の看護の重要なポイントです。

※参考:e-ヘルスネット. 「アルコール依存症」

アルコール依存症の4つのステージ

アルコール依存症の進行は、以下の4つのステージに分けることができます。

1.依存症との境界線
2.依存症初期
3.依存症中期
4.依存症後期

アルコール依存症の看護では、各ステージに合わせたケアを提供し、本人をサポートしていく必要があります。

1. 依存症との境界線

アルコール依存症は早期発見・早期治療が可能な病気です。アルコール依存症との境界線を超えていない場合は、酒量を減らしたり、断酒したりすることで、依存状態になるのを防ぐことができます。

以下の項目のいずれかに当てはまる場合、依存症との境界線に差し掛かった状態です。

・毎晩のように晩酌や飲み歩きをしている
・飲酒しても以前のように酔わず、耐性がついたと感じている
・飲酒をすると、ときどき記憶がなくなることがある(ブラックアウト症状)

アルコール依存症の境界線を超えると、自分の意志で飲酒をやめられなくなり、どんどん酒量が増えていきます。特にブラックアウト症状が頻繁に現れるようになった方は、アルコール依存症のリスクが高いため、すぐに周囲の人に相談してください。

2. 依存症初期

依存症初期になると、自分の意志では飲酒をコントロールできなくなります。精神依存が始まって、お酒が生活の中心になるのがこのステージの特徴です。

飲酒後のブラックアウト症状は、以前に増して起こるようになります。多量飲酒を繰り返すと、肝機能も低下し、健康診断の数値に現れるようになります。

しかし、周囲の人と協力しながら酒量を減らすことができれば、まだ依存症の進行を抑えることが可能なステージです。

3. 依存症中期

依存症中期になると、精神依存だけでなく身体依存も出現します。お酒を飲まないと、手足の震え、発汗、不安や焦燥、不眠症などの離脱症状が現われ、症状を緩和するためにまた飲酒するという悪循環が生まれます。

依存症中期のステージに入ったら、専門機関での治療が必要です。しかし、アルコール依存症の方は、自分が飲酒問題を抱えていないという「否認」を持つ場合があります。どのように否認を克服し、気付きを促すかが重要です。

4. 依存症後期

依存症後期になると、社会生活を送る能力が著しく低下し、仕事や家庭生活で深刻なトラブルを引き起こすようになります。身体依存はますます悪化し、認知症などの脳疾患、肝炎や肝硬変などの肝臓疾患、心臓病や糖尿病といった生活習慣病のリスクも高まります。

依存症後期のステージは非常に危険な状態です。依存症が原因で生活がうまくいかないストレスから、ますますアルコールに依存し、社会から孤立していきます。すぐに治療を受けないと孤立死のリスクもあるため、周囲の人や地域社会による支援が必要です。

アルコール依存症の治療の流れ

アルコール依存症の治療は、導入期、解毒期、リハビリ期、治療継続期の4つの段階に分けて行われます。

段階治療内容
導入期・アルコール依存症に伴う精神症状や身体症状に対処する
・アルコールの危険性についての正しい知識を伝える
・アルコール依存症の克服に向けた動機づけをする
解毒期・専門機関に1~2週間入院し、アルコール依存症の離脱症状を緩和する
・生活指導を通じて、栄養状態を改善する
リハビリ期・精神療法(カウンセリング)や作業療法(リハビリテーション)を通じて、精神依存を克服する
・アルコール依存症患者が集まる自助グループへの参加を勧める
・必要に応じて、抗酒剤や飲酒欲求軽減薬を投与する
治療継続期・断酒の継続に向けて、本人の心身をサポートする
・ストレス状態に対処するためのトレーニング(コーピングスキルトレーニング)をする
・アルコール依存によって壊れた家族関係の修復をサポートする
・社会復帰に向けた自立支援を実施する

アルコール依存症の治療の基本は断酒です。しかし、アルコール依存症の方が、自分の意志で飲酒をコントロールするのは困難です。まずはアルコール依存症に伴う精神症状や身体症状に対処し、断酒の継続を目指します。

アルコール依存症の看護では、治療の各ステップで利用者に寄り添い、断酒を継続できるように心身をサポートしていきます。また、薬物療法を実施する場合は、抗酒剤や飲酒欲求軽減薬などの服薬管理も大切な仕事の一つです。

主治医と相談しながら、アルコール依存症の治療の流れに沿って看護ケアを提供しましょう。

アルコール依存症の看護で大切なポイント

アルコール依存症の看護のポイントは、大きく分けて3つあります。

・利用者の「否認」を克服するためのサポートをする
・離脱症状のつらさを理解して少しの成長でもきちんと褒める
・必要に応じて生活介助を行って規則正しい生活をさせる

利用者の「否認」を克服するためのサポートをする

アルコール依存症によくみられるのが、「否認」と呼ばれる心の働きです。否認とは、依存症の患者が飲酒の問題があることを認めないことを指します(※)。

自分の飲酒問題を過小評価したり、正当化したりする心の働きも否認に含まれます。

アルコール依存症を克服するには、まず否認を克服し、飲酒問題の深刻さに気づいてもらうことが必要です。否認の克服に効果的だとされているのが、認知行動療法や動機づけ面接法などの治療方法です。

否認の克服には、本人のそばに寄り添う看護師の働きかけも重要です。利用者と信頼関係を築くにつれて、本人がだんだん看護師の意見を聞き入れてくれるようになります。利用者と認識を共有し、アルコールの危険性についての正しい知識を持ってもらうことで、否認の克服につながります。

※参考:e-ヘルスネット. 「アルコール依存症への対応」. “アルコール依存症から回復するには「断酒」が原則”

離脱症状のつらさを理解して少しの成長でもきちんと褒める

アルコール依存症の治療はうまくいかないことの連続です。特にアルコール依存症のステージが進行している方の場合、身体的な苦痛を伴う離脱症状が現われます。

治療でうまくいかないことがあっても、努力したこと自体を褒めてあげることが大切です。離脱症状のつらさに寄り添いながら、断酒に向けた動機づけを行っていきましょう。

必要に応じて生活介助を行って規則正しい生活をさせる

アルコール依存症が進行した方は、社会生活を送る能力が低下し、身なりや衛生面を自分で管理できない場合も少なくありません。

アルコール依存症の克服には、規則正しい生活も大切です。看護師が必要に応じて生活介助を実施し、断酒しやすい生活環境を整えましょう。

ただし、看護師が生活面を全て介助してしまうと、利用者の自己管理能力が低下し、自立した暮らしを送ることが難しくなります。利用者の状態をそばで見守りながら、適度に生活介助を行っていくことが大切です。

アルコール依存症の依存状態に合わせた看護を

アルコール依存症は、依存症との境界線、依存症初期、依存症中期、依存症後期の4つのステージを通じて進行していきます。アルコール依存症の方を看護するときは、依存症のステージに合わせてケアを提供する必要があります。

アルコール依存症が進行すると、精神依存だけでなく身体依存が現れ、つらい離脱症状に悩む方も少なくありません。アルコール依存症の看護では、離脱症状のつらさに寄り添いながら、少しの成長でもきちんと褒めることが大切です。また、断酒しやすい生活環境を整えるため、必要に応じて生活介助も実施しましょう。

精神科訪問看護は、精神疾患を抱えた利用者の自宅に訪問し、看護ケアを提供するサービスです。アルコール依存症で苦しむ方を看護し、社会復帰に向けてサポートしたい方は、精神科訪問看護の仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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