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精神科訪問看護と訪問看護の違いは?共通点や身につくスキルも解説

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精神科訪問看護と訪問看護の違いは?共通点や身につくスキルも解説

訪問看護は看護師や作業療法士が利用者の自宅を訪問し、症状に応じたケアを提供する医療サービスです。訪問看護の中でも、精神疾患を抱えた人を対象としたのが精神科訪問看護です。本記事では、精神科訪問看護と訪問看護の違いや共通点、精神科訪問看護で身につくスキルについて解説します。

精神科訪問看護と訪問看護の違い

精神科訪問看護と訪問看護の違い

身体的なケアを提供する訪問看護に対して、精神疾患を抱えた人を対象に、心のケアを提供するサービスを精神科訪問看護と呼びます。

精神科訪問看護と訪問看護には共通点もあるものの、制度や仕組み、主なケア対象、訪問する人、看護内容などの点で違いがある状況です。ここでは、精神科訪問看護と訪問看護の違いを4つのポイントで解説します。

・仕組みの違い
・適用される保険の違い
・ケア対象の違い
・訪問する人の違い

仕組みの違い

まずは、仕組みの違いです。精神科訪問看護や訪問看護は、いずれも訪問看護ステーションの独断によってサービスを提供しているわけではありません。原則として、主治医が発行する指示書に基づいてサービスを提供する仕組みになっています。精神科訪問看護や訪問看護では、主治医が発行する指示書の種類が違います。

訪問看護の仕組み

訪問看護の場合、利用者の主治医が訪問看護指示書を発行し、訪問看護ステーションは指示書に基づいてケアを提供します。訪問看護指示書には、利用者の基本情報の他、主病名や過去の病歴、必要な療養ケアなど、訪問看護に必要な情報が記載されています。

訪問看護の報酬は、厚生労働省が定めた訪問看護基本療養費に基づいて算出されますが、請求には訪問看護指示書に加えて、利用者への支援計画を策定した訪問看護計画書が必要です。

精神科訪問看護の仕組み

一方で、精神科訪問看護の場合、主治医が発行した精神科訪問看護指示書に基づいてサービスを提供します。精神科訪問看護指示書は、精神科の医師しか発行することができません。

精神科訪問看護の診療報酬の請求にも、精神科訪問看護指示書が必要です。訪問看護指示書と精神科訪問看護指示書の違いは、次の項目で説明する適用される保険の違いにも関わってきます。

適用される保険の違い

適用される保険の違いもあります。日本は国民皆保険制度の国です。医療サービスを受けるときは、年齢やサービスの種類に応じて、医療保険か介護保険を受給できます。一部の例外を除いて、医療保険や介護保険を併用することはできません。訪問看護と精神科訪問看護では、適用される保険にも違いがあります。

訪問看護に適用される保険

訪問看護の場合、基本的に介護保険が医療保険よりも優先されます。訪問看護の利用者が要介護認定を受けている場合は介護保険が適用されるため、訪問看護の費用は診療報酬(医療保険)ではなく、介護報酬(介護保険)で請求します。

ただし、例外もあるため注意が必要です。訪問看護指示書に記載された主病名が厚生労働省が定める疾病等に該当する場合、要介護認定を受けた人であっても、医療保険が適用されます。

“利用者は年齢や疾患、状態によって医療保険又は介護保険の適応となるが、介護保険の給付は医療保険の給付に優先することとしており、要介護被保険者等については、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性増悪等による主治医の指示があった場合などに限り、医療保険の給付により訪問看護が行われる。”
※出典:厚生労働省(老健局). 「訪問看護」. “訪問看護の概要”P4

精神科訪問看護に適用される保険

精神科訪問看護では、利用者の年齢や主病名にかかわらず、医療保険が優先されることが一般的です。訪問看護と異なるため、診療報酬を請求する際に注意する必要があります。ただし、利用者が認知症の場合は例外となり、医療保険ではなく介護保険の対象となります。認知症以外の精神科訪問看護は、医療保険の給付対象になると覚えておきましょう。

ケア対象の違い

訪問看護と精神科訪問看護では、ケアの対象となる人も違います。訪問看護では、身体的な疾患や障害のある人が対象となるのに対し、精神科訪問看護のケア対象は、主に精神疾患を抱えている人です。訪問看護と精神科訪問看護のケア対象の違いについて解説します。

訪問看護のケア対象

訪問看護の主なケア対象は、身体的な疾患や障害を抱えた人です。看護師が提供する医療処置も、じょく瘡の予防、浣腸・摘便、じょく瘡以外の創傷部の処置など、創傷管理や排泄ケアがメインであり必要性も高まっています(※)。

※参考:厚生労働省(老健局). 「訪問看護」. “訪問看護における医療処置”P34

精神科訪問看護のケア対象

一方、精神科訪問看護では、精神的な症状を抱える人がケア対象です。体のケアを提供する訪問看護に対し、心のケアを提供するのが精神科訪問看護の役割です。

実際に厚生労働省の統計によると、精神科訪問看護を利用する人の主病名の割合は以下の表のとおりとなっています。

主病名割合
統合失調症・妄想性障害63.5%
気分障害9.4%
アルコール・薬物使用障害3.6%
発達障害3.3%
不安障害・ストレス関連障害3.2%
パーソナリティ障害2.0%
高次脳機能障害0.5%
その他9.3%

※出典:厚生労働省(一般社団法人 日本精神科看護協会). 「精神科訪問看護に係る実態及び精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける役割に関する調査研究報告書」. “精神科訪問看護における実態調査【利用者 個票】6)主病名”P83

多いのは統合失調症・妄想性障害で、精神科訪問看護全体の63.5%を占めています。ただし、精神科訪問看護において、まったく身体的なケアを行わないわけではありません。

例えば精神科訪問看護でも、生活面の介助やバイタルサインの測定、服薬管理などの基本的な看護業務は行っています。また、糖尿病や循環器系の疾患など、身体的な合併症を抱えている人も多く、その場合は通常の訪問看護のような医療処置を行う可能性があります。

訪問する人の違い

最後に、利用者の自宅を訪問する人の違いです。訪問看護も精神科訪問看護も、主に看護師の資格を持つ人が訪問する点は同じですが、精神科訪問看護の場合は細かい条件が定められています。

訪問看護で訪問する人

訪問看護で訪問する人は、主に看護師や理学療法士、作業療法士、看護補助者(准看護師)などです。基本的には利用者一人につき一名の看護師が担当し、必要に応じて理学療法士や作業療法士が同行するかたちとなります。

利用者が脳梗塞による言語障害(失語症や構音障害)や、嚥下障害などを抱えている場合は、リハビリテーションを目的として、言語聴覚士(ST)が同行する場合もあります。

精神科訪問看護で訪問する人

一方、精神科訪問看護で訪問する人は以下のとおりです。

・看護師(精神科)
・作業療法士(精神科)
・保健師(精神科)
・准看護師(精神科)
・精神保健福祉士

精神科訪問看護の場合、基本的に精神科に所属する看護師や作業療法士が訪問します。利用者の日常生活の支援や社会復帰に向けたサポートが必要な場合は、精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)が同行する場合もあります。

精神科以外の看護師が訪問した場合、診療報酬の請求に必要な精神科訪問看護基本療養費を算定できません。厚生労働省の通知によると、精神科訪問看護で働く人は、以下4つの条件のいずれかを満たす必要があります。

1.精神科を標榜する保険医療機関において、精神病棟又は精神科外来に勤務した経験を1年以上有する者
2.精神疾患を有する者に対する訪問看護の経験を1年以上有する者
3.精神保健福祉センター又は保健所等における精神保健に関する業務の経験を1年以上有する者
4.国、都道府県又は医療関係団体等が主催する精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした20時間以上を要し、修了証が交付される研修を修了している者。なお、研修は次の内容を含むものである。

※出典:厚生労働省. 「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」. “別添 届出基準”

精神科訪問看護と訪問看護の共通点

精神科訪問看護と訪問看護の共通点

精神科訪問看護と訪問看護には、医療サービスとしての共通点もあります。どちらも利用者の居宅に看護師などが訪れ、在宅でケアを提供する形態の医療サービスです。健康上の問題など、やむを得ない理由から外来や通院での治療が難しい人の受け皿として、地域社会になくてはならない存在となっています。

また、精神科訪問看護と訪問看護には制度上の共通点もあります。精神科訪問看護も訪問看護も、病院(診療所)か、訪問看護ステーションのいずれかの形態でサービスを提供することが可能です。

訪問看護ステーションは、介護保険法に基づいて、都道府県の許可を得て運営している事業所を指します。一方、病院は介護保険法ではなく、健康保険法の指定を受ける保険医療機関です。しかし病院は便宜上、介護保険法のみなし指定を受けたものと扱われるため、訪問看護サービスを提供することが可能です。ただし、訪問看護の報酬は、みなし指定を受けた病院よりも、訪問看護ステーションの方が高く算出される仕組みになっています。

精神科訪問看護と訪問看護の違いを知り、自分に合った仕事を選ぼう

身体的なケアを中心とした訪問看護に対して、精神的な支援を提供するサービスを精神科訪問看護と呼びます。精神科訪問看護の対象となるのは、うつ病、統合失調症、アルコール依存症、パーソナリティ障害など、精神疾患や障害を抱えた人です。

精神科訪問看護で訪問するのは、主に精神科で働く看護師や作業療法士で、利用者の生活支援のため、精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)が同行することもあります。これから訪問看護師として働きたい人は、精神科訪問看護と訪問看護の違いを知り、自分に合った仕事を選びましょう。

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