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退院日に訪問看護は行える?訪問のポイントも解説

近年、地域包括ケアシステムが推進されている中で、患者さんの治療や療養の在宅ケアへの移行に訪問看護が果たす役割は日々大きくなっています。

しかし病院での治療を終えて退院する際、これから始まる在宅の生活に不安を感じている患者さんやそのご家族もいるでしょう。そのような方にとって、住み慣れた家で生活をしながら病気の治療や療養ができる訪問看護サービスは、心強い存在です。

令和6年に行われた介護報酬改定(※)では、患者さんの退院日の訪問看護提供に新たな加算が定められるなど、訪問看護師が患者さんとご家族の在宅移行をサポートする体制はますます強化されています。

本記事では、患者さんが病院から退院する日に訪問看護を行った際の算定方法や退院日の訪問で確認するべき内容などを詳しく紹介します。本記事を読んで、訪問看護の退院日訪問のポイントを理解しましょう。

※参考:厚生労働省.「令和6年介護報酬改定における改定事項について」,(参照2024-06-12).

退院日にも訪問看護を行える

退院日にも訪問看護を行える

訪問看護サービスは、条件を満たしていれば患者さんの退院日に行うことが可能です。特に、令和6年に行われた介護報酬改定では、介護保険を適用して訪問看護サービスを利用する予定の患者さんが退院日に訪問看護師の訪問を受けることが、国から推奨されました。

この背景には、退院日の患者さんとそのご家族のサポートの必要性が大きく関係しています。

厚生労働省がまとめた調査によると、医療機関を退院した患者さんを受け持った訪問看護ステーションのうち、66.6%が退院当日の訪問看護を提供したことがあるというデータが発表されています。退院当日に訪問看護ステーションから複数回の訪問看護を行っている理由の多くが「患者さんの急変や緊急対応」「自宅での医療処置」「緩和治療」などでした。このことから、患者さんの退院日にご家族や患者さんが自宅で訪問看護師のサポートを必要としている現状が読み取れるでしょう。

地域包括ケアシステムの推進に伴い、訪問看護師による患者さんの退院日の訪問の需要はこれからも高まっていくことが予想されています。

※参考:厚生労働省.「中央社会保険医療協議会 総会(第573回) 議事次第P38〜」,(参照2024-06-18).

退院日当日に訪問看護の算定をするには

退院日当日に訪問看護の算定をする方法は、患者さんが訪問看護に適用している保険が「医療保険」か「介護保険」かによって異なります。

どちらも公的な保険ですが、一般的に医療保険は怪我や病気のときに適用し、介護保険は要支援・要介護認定を受けた人が適用できる保険です。また介護保険は40歳以上の方が加入できるという年齢制限があるのも、大きな違いでしょう。

ここではそれぞれの保険による退院日当日の訪問看護の算定方法の違いを見ていきましょう。

医療保険適用の場合

基本的な概念として、患者さんが医療保険を適用して訪問看護サービスを受けている場合、患者さんの退院日当日は「入院期間」の扱いになるため訪問看護基本療養費の算定はできません。

しかし患者さんの退院日当日の日付が記載された「特別訪問看護指示書」がある場合は、訪問看護師の退院日訪問が可能になります。特別訪問看護指示書とは、患者さんの主治医が必要だと認めた際に交付される指示書です。

この特別看護指示書を受けるには、患者さんの病気や症状が別表7「厚生労働大臣が定める疾病等」別表8「厚生労働大臣が定める状態等」に定められているものに当てはまることも条件の一つです。

※参考:厚生労働省.「訪問看護のしくみ」,(参照 2024-06-18).

介護保険適用の場合

患者さんが介護保険を適用して訪問看護サービスを受ける場合、退院日当日に初回の訪問看護を行うと「初回加算」の算定ができます。初回加算はサービスの質の向上や訪問看護ステーションの経営安定を目的にしている評価方法で、医療保険には初回加算がありません。

令和6年に介護報酬改定が行われ、患者さんの退院日当日に初回訪問を行うと請求できる上位区分の初回加算(Ⅰ)が新たに追加されました。

初回加算(Ⅰ)とは、患者さんに対して新規の訪問看護計画書を作成した訪問看護ステーションに対して、患者さんの退院日に初回の訪問看護を行うと350単位/月が加算されるものです。

この初回加算を算出するには、患者さんが当該訪問看護ステーションを新規で利用していることや歴月で過去2カ月の間に患者さんが当該訪問看護ステーションの訪問看護サービスを受けていないこと、退院時共同指導加算を算定していないことなどの条件があります。

このように、今回の介護報酬改定で初回加算の上位区分が設けられたことは、訪問看護ステーションの経営の安定や医療の効率化、地域包括ケアシステムの推進に向けた患者さんの在宅ケアへのスムーズな移行に貢献しています。

※参考:厚生労働省.「令和6年介護報酬改定における改定事項について」,(参照2024-06-13).

退院日の訪問で確認するべきポイント

退院日の訪問で確認するべきポイント

患者さんが退院した日の訪問看護では、訪問看護師が患者さんやそのご家族と初めて顔合わせをするケースもあるでしょう。患者さんとそのご家族が、訪問看護師の次回の訪問日までスムーズに在宅ケアを行えるように、初回の訪問で必要なサポートを提供します。

では患者さんとそのご家族に対して、どのようなポイントに注意しながら退院日の訪問を行えば良いのでしょうか。ここでは退院日の訪問で確認しておきたいポイントを3つ紹介します。

退院後の心身の状態

患者さんが退院した日に訪問看護を行う際は、患者さんが退院した後の心身の状態をしっかりと確認しましょう。退院日当日は、医療機関からの移動で患者さんの活動量が増え、心身の症状に変化が出るケースも少なくありません。

例えば、精神に疾患のある患者さんの場合は、環境の変化からパニックを引き起こすなど精神状態が不安定になることがあります。そのため訪問看護師が患者さんのバイタルチェックや問診などを行い、健康状態のチェックを行いましょう。

また患者さんの病状の治療や維持に服薬が欠かせない場合は、訪問看護師が患者さんの退院時処方を確認して把握しておく必要があります。精神疾患の症状を安定させる薬や血圧をコントロールする薬など、患者さんの病気や症状によって処方されている薬はさまざまです。そのため、患者さんが認知症などを患っており服薬スケジュールの把握が難しい場合は、ご家族が患者さんの日々の服薬サポートをしてくれるようにお願いしましょう。

厚生労働省が行った調査では、退院日当日に訪問看護のサービスを受けた患者さんとそのご家族の多くが必要としていたケア内容は「体調や病状」でした。また退院当日の訪問は、介護度が高い患者さんほど必要としていたことも分かっています。

この調査からも、退院日にサポートを必要としている患者さんとそのご家族が多いことは明らかです。今後、患者さんの医療ケアが在宅へ移行していくに従って、訪問看護師の退院日当日のサポートの重要性もさらに増していくでしょう。

※参考:厚生労働省.「中央社会保険医療協議会 総会(第573回) 議事次第P38〜」,(参照2024-06-18).

患者さんの自宅の環境

患者さんの退院日に訪問看護を行う際は、患者さんの自宅の環境の確認もしっかりと行いましょう。

例えば、在宅ケアをされる患者さんは、症状が落ち着いたように見えていても、急な悪化が起こったり容体が急変したりする可能性があります。そのため患者さんの退院日の訪問看護訪問では、酸素療法や点滴、人工呼吸器など患者さんの命をつないでいる医療機器が正確に設置・作動できる環境かどうかの確認を行いましょう。

また退院してすぐの患者さんに起きやすいトラブルの一つに、転倒もあります。

患者さんの病状の進行具合によって、入院前よりも要介護度のレベルが上がって歩行機能が落ちていたり、車椅子での移動が必要だったりするケースもあります。その場合は、医療機器が置かれている場所や階段や段差などの有無など、患者さんの日常生活の導線上に障害物がないかどうかを確認しましょう。

万が一安全性が不十分であれば、ご家族に患者さんの療養環境の向上を目的とした提案や指導などを行うこともあります。

患者さんによっては、膀胱留置カテーテルやドレーン、点滴など、患者さん本人が自己抜去を起こす可能性がある医療機器を使用しているケースもあります。基本的な取り扱いは、退院前に病院から患者さんへ指導されている場合が一般的ですが、訪問看護師が継続して使用方法や注意喚起などの指導を行っていくようにしましょう。

このように、訪問看護師がいない間も患者さんとご家族が安定した在宅療養を続けられるように、さまざまなポイントからサポートをしていきます。

緊急時の対処方法

患者さんの退院日の訪問看護では、緊急時の対応方法も確認しておきましょう。

在宅療養では、病院と違ってナースコールで看護師を呼ぶことができません。そのため、患者さんの在宅療養中に起こりそうなトラブルや緊急事態を想定して、緊急連絡の方法や基準などを患者さんとそのご家族に説明し、理解を得ておく必要があります。

患者さんの容体が急に悪化したり転倒してしまったりすると、患者さんもご家族も気が動転して冷静な判断や適切な対処ができないことがあります。そのため訪問看護師は、患者さんの緊急時に連絡する医療機関などの番号を把握し、周知しておきましょう。

患者さんの自宅の初回訪問時に、緊急連絡先をまとめたメモを作って見やすい場所に貼っておいたり、ご家族の携帯電話に必要な緊急連絡先を登録してもらったりするのも良い方法です。

医療機関によって、救急の対応を受け付けていなかったり夜間の対応窓口が救急外来になったり、対応はさまざまです。万が一のときに患者さんとそのご家族が慌てずに済むような対策を考えておきましょう。

まとめ

本記事では、患者さんが病院から退院する日に訪問看護を行った際の算定方法や退院日の訪問で確認するべき内容などを詳しく紹介しました。

地域包括ケアシステムの推進を受けて、患者さんの療養やケアの在宅移行は年々進んでいるといえるでしょう。今後も需要が大きくなることが予想される訪問看護の仕事へのキャリアチェンジを考えている方は、精神科訪問看護師募集サイト「ナースセブン」もご覧ください。

ナースセブンでは、主に精神科訪問看護に特化した「訪問看護ステーションALWAYS」で一緒に働いてくれる訪問看護師を募集しています。本記事を読んで訪問看護の仕事に興味を持った方や看護師からキャリアチェンジしたい方、すでに訪問看護師として働いているけれど今後に向けてキャリアアップしたい方などの応募をお待ちしています。

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