精神科訪問看護は、精神的な疾患を抱えた方を対象とした訪問看護です。精神科訪問看護に従事している方の中には、仕事がきつい、利用者との関わり方が難しいと感じている方もいるでしょう。
なぜ精神科訪問看護は、きついといわれるのでしょうか。本記事では、精神科の訪問看護の大変さや、精神科訪問看護ならではのやりがい、ストレスに対処するためのポイントを解説します。
精神科訪問看護の仕事は、なぜきついといわれるのでしょうか。精神科訪問看護は他の訪問看護と違って、精神疾患を抱えた方をケアし、社会復帰に向けてサポートする仕事です。そのため、利用者とのコミュニケーションのとりづらさや、言動に危険を感じるケースなど、精神科訪問看護に特有の難しさがあります。
ここでは、精神科訪問看護がきついといわれる理由を4つ紹介します。
・利用者と意思疎通するために試行錯誤する必要がある
・利用者の症状によって身の危険を感じる場合がある
・訪問先の住宅が不衛生な場合がある
・利用者との家族とも円滑な関係を築く必要がある
精神科訪問看護がきついといわれる理由の一つは、利用者との意思疎通の難しさにあります。精神科訪問看護の利用者は、統合失調症や気分障害(うつ病や躁病など)、アルコール依存症や薬物使用障害など、さまざまな精神疾患を抱えています。症状が悪化した方の場合、正常な受け答えが難しいケースもあり、利用者とどうすれば信頼関係を構築できるのか悩む看護師の方も少なくありません。
利用者とうまくコミュニケーションがとれないと、訪問を拒否されてしまう可能性もあります。利用者と意思疎通するため、さまざまな試行錯誤が求められるのが精神訪問看護の難しさの一つです。
利用者の症状によっては、訪問先で思いがけない言動をされ、戸惑うケースもあります。中には攻撃的な言動をとられ、身の危険を感じる方もいるかもしれません。
精神科訪問看護は、基本的に一人で対応しなければならない仕事です。入社後の研修が充実していない訪問看護ステーションの場合、攻撃的な言動を繰り返す利用者にどう対応すべきか分からず、一人で抱え込んでしまう方もいるでしょう。
まずは利用者の言動は、看護師個人に対して向けられたものではなく、精神的な症状によるものだということを理解することが大切です。その上で一人では対処するのが難しいと判断した場合は、ステーションの先輩スタッフに相談し、意見交換しながら対策を検討しましょう。
これから精神科訪問看護の仕事をする方は、入社後の研修が充実していて、先輩スタッフのフォローを受けられるステーションがおすすめです。精神科看護師のはたらくをサポートするナースセブン(Nurse7)では、入社後は一貫して寄り添いながら訪問看護について学んでいただける教育システムがあります。入社後2カ月から6カ月 を目安として、ベテランスタッフに同行しながら訪問看護の仕事を学べます。
精神科訪問看護の大切な仕事の一つが、利用者が日常生活を維持し、一人で身の回りができるようにサポートすることです。利用者の症状によっては、一人で掃除や片付け、ゴミ捨てを行うことができず、訪問先の住宅が不衛生な場合があります。
訪問開始後間もないうちは、看護師自身が家の片付けをしなければならないケースもあるかもしれません。症状が改善していくにつれて、次第にできることが増えていくため、長い目で利用者を見守ることが大切です。
看護師が関わるのは、訪問看護を受ける利用者本人だけではありません。利用者を支える家族も、さまざまな悩みや不安を抱えています。精神科訪問看護では、利用者本人に加えて、利用者の家族とも円滑な関係を築く必要があります。
場合によっては、利用者の家族からプレッシャーを受けることもあるかもしれません。利用者の健康管理や服薬管理だけでなく、高いコミュニケーションスキルが求められるのが精神科訪問看護の特徴です。
精神科訪問看護には、他の看護の仕事ではなかなか実感できないやりがいもあります。精神科訪問看護は、きつい、つらいという先入観を持たず、精神科訪問看護の魅力ややりがいにも目を向けてみましょう。
精神科訪問看護は、他の訪問看護と比べて、看護師が一日に対応する利用者数が比較的少なくなっています。そのため、少数の利用者とじっくり向き合いながら、看護ケアを提供することができます。
統合失調症や気分障害などの精神疾患によって、利用者のその人らしさが失われてしまっていることもあります。精神科訪問看護には、利用者のケアを通じて、その人らしさを取り戻していく大切な役割があります。利用者の自立や社会復帰を達成できれば、大きなやりがいを感じることも可能です。
精神科訪問看護は地域医療に貢献できる仕事です。訪問看護では、他の医療機関、居宅介護支援事業所、市区町村、地域包括支援センターなど、さまざまな機関と連携し、利用者の自立に向けたサポートを提供します。
このネットワークのことを地域包括ケアシステムと呼びます。精神科訪問看護は地域包括ケアシステムの一端を担い、地域で暮らす方の精神面の健康を支える存在です。地域医療に貢献したい方や、地元の人々から信頼される存在になりたい方は、訪問看護ステーションで働きましょう。
精神科訪問看護の仕事でストレスを感じたら、どのように対処すれば良いのでしょうか。ストレスの対処法は2つあります。
・仕事とプライベートのメリハリをつける
・先輩スタッフに相談する
訪問看護は他の看護の仕事と比べて、夜勤や休日出勤、オンコール(呼び出し)が比較的少なく、比較的プライベートの時間を確保しやすい職種です。休みの日は、自分の趣味や好きなことを目一杯楽しみ、余暇を充実させましょう。仕事とプライベートのメリハリをつけることが、溜まったストレスを解消する秘訣です。
また、訪問先での悩みごとがあれば、すぐにステーションの先輩スタッフに相談してください。ベテラン訪問看護師に相談すれば、自分では理解できなかった利用者の言動も、経験を交えつつ納得のいく形で説明してくれるはずです。
自分一人で抱え込まず、些細なことでも周囲に相談する習慣を身に付けましょう。
精神科訪問看護には、利用者とコミュニケーションをとりづらい、利用者の思いがけない言動に戸惑うことがあるなど、他の訪問看護にはない難しさがあります。訪問先で困ったことがあれば、ステーションや先輩スタッフに相談しましょう。
精神科訪問看護は、利用者がその人らしさを取り戻す手伝いをするやりがいのある仕事です。精神科訪問看護に興味のある方や訪問看護ステーションで働いてみたい方は、「訪問看護ステーションALWAYS」をご利用ください。ベテランの看護師が、入社から一貫してサポートする仕組みがあるため、初めて精神科訪問看護に従事する看護師の方も安心して働けます。