精神科訪問看護の仕事は休みが取りにくいといわれています。しかし訪問看護ステーションによっては、土日祝日が休業日で夜勤がないところや、休みを取りやすいところも存在します。特に子育て中や介護中の方は、急な休みの申請が必要になるケースもあるため、休みの取りやすさが重要でしょう。子育てや介護をしている方にこそ、精神科訪問看護師の仕事はおすすめです。
本記事では、精神科訪問看護師が休みを取りにくい原因と休みを取るための対処法、入職の際にチェックするべきポイントなどを詳しく説明します。精神科訪問看護の仕事に興味を持っている方や子育て中の方、キャリアチェンジを考えている方は、本記事を読んで休みが取りやすい訪問看護ステーションを探してみましょう。
目次
基本的に精神科訪問看護師の休みが取れるかどうかは、働いている訪問看護ステーションによって異なるため「休みにくい訪問看護ステーションが存在する」という表現が適切だといえます。
訪問看護ステーションの休みにくさは、経営者や管理者の経営方針や訪問看護ステーションの雰囲気が原因になっていることがあります。詳細は次項で解説します。
精神科訪問看護師の休みが取りにくくなる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは休みを取りにくくなる主な理由を3つ説明します。
精神科訪問看護師が休みを取りにくい原因の一つには、患者さんへのケアが属人化していることが挙げられます。訪問看護ステーションにおけるケアの属人化とは、業務に関する情報が患者さんを担当する精神科訪問看護師しか把握できておらず、周囲に共有されていない状態のことです。
一般的に精神科訪問看護師は「受け持ち制」か「チーム制」のどちらかで患者さんを担当しています。受け持ち制は、一人の患者さんを一人の看護師が担当・訪問する仕組み、チーム制は一人の患者さんを複数の看護師が担当・訪問する仕組みです。
受け持ち制だと患者さんのケアや対応などの業務が属人的になりやすく、急な休みを取りにくくなるでしょう。
精神科訪問看護師の休みが取りにくい原因には、精神科訪問看護師の人手が不足していることも影響しています。
患者さんが自宅でケアを受けられる在宅ケアは年々増加傾向にあり、今後も精神科訪問看護師の需要は増えていく見込みです。
しかし訪問看護の概念は比較的新しく、中小規模で運営している訪問看護ステーションも多く見られ、2024年現在は精神科訪問看護師の需要に対して人手が不足しがちです。
また日本看護協会がまとめた調査によると、夜間・休日勤務が発生する訪問看護ステーションは業務の負担が大きいと判断され、精神科訪問看護師の応募者が集まりにくいことも指摘されています。
人手が不足してしまうと、チーム制であっても自分が担当・訪問する患者さんを代わりに担当してくれるスタッフが見つからず、急な休みが取りにくくなってしまうでしょう。
参考:公益社団法人日本看護協会.「2024年度診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」.“2.事業所の体制”. “6)夜間・休日対応とその体制に関する課題”
訪問スケジュールの急な変更が難しい点も、精神科訪問看護師の休みが取りにくくなる原因の一つです。
患者さんの訪問スケジュールは事前に決められており、患者さんも患者さんのご家族も、担当の精神科訪問看護師が来ることを想定した日常生活を送っています。そのため急な休みで代理スタッフの訪問へ変更が生じた場合、訪問看護ステーションから患者さんに連絡をして、代理スタッフの訪問を許可してもらう必要があります。
しかし精神に疾患を持つ患者さんの症状によっては、代理のスタッフの訪問を拒んでしまう方も少なくありません。その際は担当看護師による訪問スケジュールの再調整が必要になり、業務が煩雑化してしまうでしょう。
また訪問看護ステーションが忙しいと、代理のスタッフがなかなか見つからずスケジュールの再調整に時間がかかるケースもあります。
このように急な休みを取ると、患者さんへの代理訪問確認やスケジュール変更などが起き、訪問看護ステーションや患者さん、そのご家族などの関係者を巻き込んでしまいやすいです。そのため周りに申し訳なく感じ、休みを取りづらいと感じる精神科訪問看護師の方もいるでしょう。
精神科訪問看護師が休みを取りやすい環境で働くには、どのようなポイントに気を付ければ良いのでしょうか。
ここでは精神科訪問看護師が休みを取るためのアプローチ方法を4つ説明します。
精神科訪問看護師が休みを取るアプローチ方法の一つに、スタッフと日頃の情報共有を徹底することが挙げられます。
入職した訪問看護ステーションが受け持ち制・チーム制のどちらであっても、自分が担当している患者さんの情報共有や申し送りを他のスタッフにも行うよう、日頃から心がけましょう。
子供の体調が優れない日が続いて休む可能性があれば、担当している患者さんの健康状態や往診歴、ケア内容や些細な気づきなどを毎回細やかに記録し、いざというときに、代わりに担当するスタッフが状況を把握できるようにしておくことが望ましいです。他のスタッフがフォローしやすい環境を整えておくと、急に担当の精神科訪問看護師が休んでしまっても、患者さんのケアを継続できるでしょう。
精神科訪問看護師が休みを取るには、患者さんの理解を事前に得ておくことも大切です。患者さんを担当する際、初日の挨拶で「急な担当変更や訪問時間の調整が発生する可能性があります」と断りを入れ、理解を得ておきましょう。事前に患者さんの理解を得られると、子供の急な体調不良による担当変更だけではなく、精神科訪問看護師自身の体調不良や移動時の事故、他の患者さんの緊急対応などでスケジュールに調整や代理訪問が生じた際も、スムーズに対応しやすくなります。また患者さんが特定の精神科訪問看護師だけに依存してしまうと、患者さんと代理で訪問する精神科訪問看護師の双方の心理的な負担が大きくなってしまいます。そのため代理スタッフの訪問や訪問時間の調整が生じても、患者さんが受けるケアやサービスに不利益が生じず、患者さんに必要なケアをきちんと提供できることも、併せて伝えておくと良いでしょう。
余裕を持った訪問スケジュールを組んでいる訪問看護ステーションを選ぶことも、精神科訪問看護師が休みを取るためのアプローチの一つです。
精神科訪問看護では、訪問看護ステーションの管理者がスケジュールの調整を行うのが一般的です。基本的に患者さんの訪問スケジュールに余裕を持たせている訪問看護ステーションを選ぶと、代理のスタッフのスケジュールを調整しやすく、休みを取りやすい可能性が高くなります。
入職前に、訪問看護ステーションで働いている先輩スタッフの訪問スケジュール例を聞いておくのも良いでしょう。
精神科訪問看護師が休みを取るためには、休暇制度がきちんと整っている訪問看護ステーションを選ぶことも大切です。
例えば入職したい訪問看護ステーションの夏季休暇・年末年始休暇などの有無や、有給休暇の消化率などを確認するのも良いでしょう。
精神科訪問看護師の有給消化率が全体的に高い訪問看護ステーションは、比較的休みが取りやすい可能性があります。気になる方は事前に問い合わせてみましょう。
精神科訪問看護師が休みを取りやすい訪問看護ステーションで働くには、どのようなポイントをチェックしておくと良いのでしょうか。ここでは主なポイントを3つ紹介します。
精神科訪問看護師が休みを取りやすい訪問看護ステーションかどうかを判断する一つ目のポイントが、年間休日数や勤務時間です。
入職したいところのWebサイトや求人情報などを確認して、年間休日数や勤務時間が希望と合っているか確認しておきましょう。平均的な一日の勤務時間が長かったり残業が多かったりする訪問看護ステーションであれば、人手が不足しており、休みが取りづらい可能性があります。
一日の平均的な訪問件数を確認するのも、精神科訪問看護師にとって休みを取りやすい訪問看護ステーションかどうかを判断するポイントの一つです。精神科訪問看護師が一日に訪問する患者さんの平均数は、訪問看護ステーションによって異なります。患者さんの自宅への移動手段や自分が担当する地域の広さなども加味して、件数が多いか少ないかを判断しましょう。精神科訪問看護師一人当たりの担当患者数が多いところだと、人手が不足している可能性があり、休みが取りにくくなるケースも考えられます。そのため気になっているところがいくつかあれば、一日の平均的な患者さんの訪問件数を問い合わせて比較すると良いでしょう。
オンコール勤務の有無も、精神科訪問看護師が休みやすい訪問看護ステーションかどうかの判断基準になります。
訪問看護ステーションの中には24時間体制で運営している所もあります。24時間体制の場合、夜間の勤務は基本的に「オンコール勤務」となり、深夜でも呼び出しがあれば、当番のスタッフが患者さんの自宅へ向かい、対応をしなければなりません。
オンコール勤務のシフトが入っていると深夜の特殊な時間に待機しなければならないため、オンコール勤務は代理のスタッフを探しにくく、急な休みが取りにくいでしょう。
休みの取りやすさを重視して働きたい方は、オンコール勤務がないところを選ぶのがおすすめです。
精神科訪問看護師の休みの取りやすさは訪問看護ステーションの運営方針や管理者のスケジュールの組み方に影響される部分が大きいです。入職前に気になっているところの情報を比べておくと、入職後のミスマッチが防げるので、面接時などにしっかりと聞いておくと良いでしょう。
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