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訪問看護における介護保険の初回加算とは?対象者や注意点を解説

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訪問看護における介護保険の初回加算とは?対象者や注意点を解説

訪問看護ステーションの運営上、適切な介護報酬請求を行うためにも、初回加算に関する知識を持っておくことは重要です。しかし初回加算の算定要件は複雑で、令和6年に介護報酬改定が行われたこともあり訪問看護師が混乱しやすい項目の一つです。

そのため、訪問看護師が介護保険を適用している新規の患者さんに初回訪問を行った際に、初回加算を算出できる対象の方の定義や算定期間、初回加算の算定に当たって注意したいポイントなどをきちんと理解しておく必要があります。

本記事では、訪問看護で介護保険を適用した際の初回加算の方法と初回加算の単位数、対象者、算定期間と注意したいポイントなどを詳しく紹介します。本記事を読んで介護保険の初回加算に関する知識を得ましょう。

訪問看護における介護保険の初回加算とは?

訪問看護での介護保険の初回加算とは、介護保険を適用している患者さんが新規の訪問看護計画書に基づいて訪問看護サービスを受ける際、訪問看護ステーションが算定できる加算のことです。

初回加算は、患者さんの状態の把握やアセスメント・新規の訪問看護計画書の作成の対価や、訪問看護サービスの質の向上を狙った評価として設けられています。また初回加算には、訪問看護ステーションの経営安定を目的とする一面もあります。

訪問看護の初回加算の単位数

訪問看護の初回加算の単位数

訪問看護の初回加算の単位数は、初回加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の2種類です(※)。

初回加算(Ⅰ)は、新規で訪問看護計画書を作成した事業所に対して、患者さんが退院・退所した当日に訪問看護師が初回の訪問看護を行った場合に350単位/月が加算されます。この加算により訪問看護ステーションが受け取れる報酬単価は約3500円です。

初回加算(Ⅱ)は、新規で訪問看護計画書を作成した事業所に対して、患者さんが退院・退所した翌日以降に初回に訪問看護を行うと300単位/月が加算されます。この加算で訪問看護ステーションが受け取れる報酬単価は約3000円です。

初回加算の注意点として、初回加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の併用は認められておらず、すでに退院時共同指導加算を算定していると併用ができません。

また初回の訪問は原則として看護職員が行う必要がありますが、准看護師を除く看護職員と理学療法士などが連携して訪問看護計画書を作成している場合は、理学療法士や准看護師などが訪問しても良いことになっています。

※参考:厚生労働省.「令和6年介護報酬改定における改定事項について」 ,(参照2024-06-12).

令和6年介護報酬改定の背景

令和6年に介護報酬が改定され、訪問看護師が患者さんの退院や退所当日に家を初回訪問した際「上位区分」として算定評価できる、初回加算(Ⅰ)が新設されました。

この改定の背景には、患者さんのケアや治療の在宅移行を円滑化する狙いがあります。要介護者の患者さんが病院や老人ホーム、ケアホームなどから在宅ケアに移行する際、患者さんの退院や退所当日に訪問看護師がサポートを行うと、患者さんもご家族もスムーズに在宅ケアに移れるでしょう。例えば在宅ケアへの移行当日に患者さんの家族と調整を行ったり、服薬・点滴などの介助方法の指導を行ったりするなどです。

地域包括ケアシステムが推進されている今、訪問看護が果たす役割は年々大きく変化しています。今回の介護報酬改定で上位区分の初回加算(Ⅰ)が設けられたことで、訪問看護ステーションの経営の安定や医療の効率化、在宅ケアの質の向上につながることが期待されています。

※参考:厚生労働省.「令和6年介護報酬改定における改定事項について」,(参照2024-06-12).

訪問看護の初回加算の対象者

訪問看護の初回加算の対象者

訪問看護の初回加算の対象者には、いくつかの条件があります。ここでは3つの条件を詳しく見ていきましょう。

新規の患者さん

初回加算の対象者の条件の一つに、当該の訪問看護ステーションを利用したことがない、新規の患者さんであることが挙げられます。

新規の患者さんの場合、まずは訪問看護ステーションのスタッフが患者さんと面談を行い、状況の介護度などを把握します。その内容を基に、訪問看護師が新規の訪問看護計画書を作成し、初回訪問を行った後に初回加算の請求をしていく流れです。

歴月で過去2カ月間訪問看護を受けていない患者さん

歴月で過去2カ月の間に当該訪問看護ステーションの訪問看護サービスを受けていない方も、初回加算の対象者です。

歴月とは「過去60日間」とは違う概念で「月初から月末まで」を指すため、注意が必要です。例えば、2024年5月10日に患者さんに訪問看護を行った場合、同年の3月1日以降に当該訪問看護ステーションの訪問看護サービスを受けていなければ、初回加算を請求できます。

この条件に該当する患者さんは、患者さんの了承を得てから訪問看護師が新規の訪問看護計画書を作成し、患者さんの訪問後に初回加算の請求を行いましょう。

要支援と要介護の区分変更があった患者さん

要支援と要介護の間で区分変更を行った患者さんも、初回加算の対象者に含まれます。

公的介護保険制度では、要介護認定を受けた患者さんの身体能力や介護の必要性に基づき、要支援・要介護の指標が与えられています。

要支援には1・2のレベルがあり、この認定を受けた患者さんは「介護予防訪問看護サービス」の利用が可能です。要支援では患者さんの自立した生活を目指して、心や体の機能を維持・向上できるように予防を行います。

一方で要介護は、患者さんの健康状態に併せて1~5のレベルに分類されます。要介護では日々の介護や介助が必要になることが一般的なので、訪問看護サービスを利用したり、デイサービスやショートステイなどを利用したりして、家族の負担を減らしながら継続的な介護を行う必要があるでしょう。

例えば、要支援1だった患者さんが要介護1へ区分変更を受けた場合、歴月で過去2カ月間に当該訪問看護ステーションから区分変更による初回加算を算定していなければ、初回加算の申請が可能です。

この条件に該当する患者さんは、患者さんの介護状態を改めて確認し、訪問看護師が新規の訪問看護計画書を作成して、患者さんの訪問や初回加算の請求を行います。

訪問看護の初回加算の算定期間

訪問看護で初回加算の算定期間は、新規訪問看護計画書を作成した患者さんに初回訪問を行った月です。

初回加算は初回訪問を行った月にしか行えないので、万が一算定期間を過ぎてしまった場合は、該当する保険者に過誤の申し立てを行い、過誤処理請求を行う必要があります。初回加算を行わずに翌月に加算のみで済ませたり、初回加算を翌月移行に請求したりすることは認められないため、誤った請求をしていれば、速やかに請求の取り下げを行いましょう。

また初回加算は「区分支給限度基準額」に含まれる加算です。区分支給限度基準額とは、要介護度別に定められている、介護保険サービスが利用できる上限のことを指します。患者さんがこの上限額を超えて訪問看護のサービスを利用したければ、その費用が患者さんの全額自己負担になります。この区分支給限度基準額は「円」ではなく算定する「単位」で決められているため、算定の際には単位を間違えないように注意をしましょう。

過剰請求を行うと不正請求と見なされて所属している訪問看護ステーションの信頼を損なうことにもつながるので、請求処理を行う際は間違いがないようにしっかりと確認しましょう。

訪問看護の初回加算について注意したいポイント

初回加算の請求を行ったけれども患者さんが要件を満たしていなければ、請求が差し戻しされます。その際は初回算定要件を確認して再請求を行いましょう。

また初回加算を請求する際は、新規で作成された訪問看護計画書と、患者さんの初回訪問時の看護記録の提出が必要です。必要書類が不足していると請求が差し戻されてしまうため、こちらも併せて注意しましょう。

初回加算時の訪問看護の具体例を紹介

初回加算が適用される新規の患者さんの初回訪問に際して、訪問看護師は具体的にどのような対応をすれば良いのでしょうか。ここではいくつかの例を見ていきましょう。

訪問看護を利用する患者さんやそのご家族には、病院から在宅ケアへの移行に不安を抱えている方もいるでしょう。特に、退院・退所した当日は患者さんの状態が急変するなどの緊急対応が求められることもあるかもしれません。

例えば精神に疾患を抱えている患者さんの場合、環境の変化で精神状態が悪化したりパニックに陥ってしまったりするケースもあるでしょう。そのため、訪問看護師は患者さんやご家族の置かれている環境を理解して親身に接し、これから始まる在宅ケアに向けて信頼してもらえるようなサポートを行います。サポートには、在宅ケアの提供だけではなく患者さんの在宅ケアに必要な物品のアドバイス、福祉支援などの紹介も含まれます。

また、患者さんが実際に在宅ケアのサービスを受けていくと、思い通りにいかない場面が出てくることもあるでしょう。その際、訪問看護師は患者さんとのコミュニケーションを通じて患者さんの不安や課題を把握し、主治医などの医療関係者や患者さんのご家族と連携してより良い在宅ケアを提供していく姿勢が求められます。

地域包括ケアシステムの推進により、今後も医療的な処置を必要とする患者さんの在宅ケアへの移行が予想されています。そのため、患者さんの退院・退所当日に訪問を行うことの重要性はさらに増していくと予想できるでしょう。

まとめ

本記事では、患者さんが訪問看護で介護保険を適用した際の初回加算についてと初回加算の単位数、対象者、算定期間と注意したいポイントなどを詳しく紹介しました。訪問看護では初回加算の概念を正しく理解しておくことが大切です。特に、令和6年の介護報酬改定後に初回加算の単位数が変更になっているため、しっかりと内容を頭に入れておきましょう。

地域包括ケアシステムの推進により近年需要が高まっている訪問看護の仕事に興味を持った方は、精神科訪問看護師募集サイト「ナースセブン」をご覧ください。

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