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訪問看護における多職種連携とは?精神疾患に包括ケアが必要な背景や関わる職種を解説

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訪問看護における多職種連携とは?精神疾患に包括ケアが必要な背景や関わる職種を解説

近年、在宅医療の必要性が年々高まっています。患者さんが住み慣れた地域で医療ケアを受けながら暮らしていくためには、多職種連携による包括的なケアが必要です。では、訪問看護における多職種連携では、どのような職種と関わりがあるのでしょうか。

本記事では、訪問看護における多種連携と精神疾患の患者さんにも多職種連携が必要な背景、訪問看護や精神科訪問看護がよく連携する職種、訪問看護師が意識すべき多種連携のポイントを解説します。本記事を読んで、精神科や通常の訪問看護連携に詳しくなりましょう。

訪問看護の多職種連携とは?

訪問看護の多職種連携とは?

訪問看護の多職種連携とは具体的にどのような内容を指すのでしょうか。

「多職種連携」とは医療や介護の現場で、医師、看護師、ケアマネージャーなどそれぞれの専門性を持つ方が、共通目標として掲げている「患者さんのケア」に向かって連携する事を指します。具体的には、関係している職種間で患者さんの情報を共有し、課題を見つけて包括的なケアを提供します。

国が2025年を目処に構築を目指している「地域包括ケアシステム」では、患者さんが自宅での医療ケアと並行して、住み慣れた土地で自分らしい生活を営む事を目標として、地域の包括的な支援やサービス提供の強化を行っています。

特に精神疾患を持つ患者さんへの地域包括ケアシステムでは、市町村や障害福祉・介護事業者が、患者さんとご家族からの相談への対応を強化し、精神科医療機関や地域援助事業者、居住支援者など関係各所がより連携できる仕組みを目指しています。

地域包括ケアシステムの推進によって、精神疾患のある患者さんが地域の助け合いや教育啓発の普及により社会参加をしやすい環境が生まれ、安心して暮らせる仕組みができるのがメリットです。

精神疾患の患者さんにも他職種連携が必要な背景

精神疾患の患者さんにも他職種連携が必要な背景

精神疾患の患者さんにも他職種連携が必要ですが、その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

厚生労働省が平成16年に策定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」では、精神疾患を持つ患者さんを地域に移行しケアしていく方針が挙げられ、それに基づいてさまざまな施策が行われています。

現状の精神科の入院患者数は減少傾向です。しかし、平成29年の調査では1年以上の長期入院者数は全国で17万人以上で、退院が困難な理由の一つに「支援や居住が足りておらず、十分な地域サービスを利用できていない」が挙げられています。具体的には精神科のデイケアや訪問看護、グループホームやショートステイなどです。

精神疾患を持つ患者さんたちを地域全体で支えて、地域の一員として自分らしく暮らせるようにするため、他職種が連携して地域包括ケアを推進していく必要があります。

※参考:第90回社会保障審議会障害者部会.「資料2」.https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000307970.pdf ,(参照 2024-03-04).

訪問看護がよく連携する職種とは?

訪問看護がよく連携する職種にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、6つの具体的な職種名と主な連携の場面を解説します。

医師

訪問看護師が連携する職種の一つに医者が挙げられます。

訪問看護サービスは患者さんの主治医が「訪問看護指示書」を交付すると開始されるため、医師との連携が必要です。

訪問看護サービスが開始されると、医師が患者さんを直接訪問する回数が少ないため、訪問看護師から訪問看護記録などを通じて患者さんの病状を把握するのが一般的です。訪問看護師は、患者さんの病状などの情報を収集して医師へ伝達する役目を担います。

また、患者さんの状態が著しく悪化した場合など、医師の判断が必要な際は、連携して緊急の指示を仰ぐ事もあります。

薬剤師

薬剤師も訪問看護師が連携する職種の一つです。

訪問看護の現場では、患者さんへの薬物服用説明・保管方法などの服薬指導は薬剤師が担当します。しかし、在宅医療では医療従事者による管理に限界があり、患者さんやご家族が服薬方法や副作用を理解していないと「過剰服薬」「飲み忘れ」「管理方法ミス」など命に関わるトラブルが起きる可能性も少なくありません。

そのため、訪問看護師が薬剤師と連携して服薬を管理する必要があります。具体的には患者さんの治療内容を詳しく理解し、日々の服薬や薬物の管理がきちんと行われているか、飲み忘れがないかなどを訪問の際に確認します。

問題が見られる場合は速やかに医師や薬剤師と連携し、対応していく必要があるでしょう。

医療ソーシャルワーカー(MSW)

訪問看護師がよく連携する職種の一つに医療ソーシャルワーカー(MSW)も挙げられます。

ソーシャルワーカーとは「社会福祉士」や「精神保健福祉士」の資格を持つ専門職です。医療ソーシャルワーカーは医療機関の窓口とも言われており、病院内外の関連職種と連携を行います。

患者さんからの医療・介護・福祉にまつわる相談や援助の調整を行い、患者さんの病状に応じて訪問看護の介入が必要と判断すれば訪問看護師と連携を取り対応していきます。

ケアマネージャー(介護支援相談員)

ケアマネージャーも訪問看護師がよく連携する職種の一つです。

ケアマネジャーは「介護支援専門員」とも呼ばれる、主にケアプランの作成やサービス事業者との連携、調整を行う専門職です。医療や介護を必要とする患者さんが必要なサービスを受けられるようにケアプランを組み、必要であれば訪問看護の依頼も行います。

訪問看護師が患者さんの身体や能力の変化をケアマネージャーに報告、連携すると、より患者さんに適したケアプランの作成が可能になります。

ヘルパー(訪問介護員)

ヘルパー(訪問介護員)も訪問看護師がよく連携する職種の一つです。

ヘルパーは、患者さんの自宅を訪問して身体介護、移動介助、調理や洗濯など日常生活の援助を行う専門職です。訪問看護師とヘルパーの役割は分野が異なるため、連携して患者さんが必要とするケアを提供していくでしょう。

訪問看護で患者さんが必要とする医療ケアで頻度が比較的高いものに「喀痰吸引」や「胃ろう・経鼻胃管などの経管栄養」が挙げられます。基本的に医療ケアなので訪問看護師が担当しますが「看護師の指導の下であればヘルパーでも実施可能である」と法律で定められています。このため、訪問看護師がヘルパーを指導したり、同時に訪問し連携してケアを行ったりするケースもあるでしょう。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士

訪問看護師がよく連携する職種の一つに理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も挙げられます。各職種の主な役割は以下の通りです。

  • 理学療法士:患者さんの「自立」を目指して運動機能の回復や向上に向けた運動、物理療法を行う専門職。
  • 作業療法士:患者さんの自分らしい生活を実現するため基本的、応用的動作能力や社会的適応能力の維持、改善を目指した支援を行う専門職。
  • 言語聴覚士:言葉のコミュニケーションに問題がある患者さんへ訓練、指導、支援や、摂食、嚥下機能にまつわる指導を行う専門職。

訪問看護では患者さんの病状により関わる専門職員の分野が変わりますが、連携して患者さんのリハビリを専門的に行っていきます。

精神科訪問看護で連携することが多い職種

前述した訪問看護連携がよくある職種に加えて、精神科訪問看護の場合に連携が多い職種にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは2つの職種を解説します。

就労移行支援事業所

精神科訪問看護で連携が多い職種の一つに「就労移行支援事業所」が挙げられます。

就労移行支援とは、精神疾患を持つ患者さんが一般企業への就職をして社会復帰を目指すための支援制度です。患者さんの精神状態により職種の適正を判断して、就労に至るまでの技術やスキルを身につける過程をサポートする事業所です。

仕組み上、精神科訪問看護師が介入すると「医療連携体制加算」の対象となるので、連携する機会も少なくないでしょう。

市区町村

市区町村が運営する事業も精神科訪問看護で連携が多い職種の一つです。

市区町村が運営する事業の中で精神科訪問看護に関連するものに「移動支援事業」と「日常生活支援事業」の2つがあります。

「移動支援事業」とは、精神疾患を持つ患者さんのスムーズな外出を支援する事業です。定期的な病院への通院や社会活動への参加に付き添ったり、送迎バスでの送り迎えを行ったり

します。パニック障害や統合失調症などの精神疾患の症状で公共交通機関による移動が困難な方に対して、移動方法を提案する事もあります。

「日常生活自立支援事業」とは、精神疾患により日常生活を送る事が困難な患者さんへ、福祉サービスの利用や金銭管理などのサポートを提供する事業です。たとえば、患者さんが内容を理解できず手続きができなかったりサービスの利用が難しかったりする際に付き添い、手続きのサポートを行います。

どちらも精神疾患を持つ患者さんの生活を円滑にするため、必要に応じて連携を行っていく必要があります。

訪問看護師が意識するべき多職種連携のポイント

訪問看護師が多種連携の際に意識するべきポイントには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは主なポイントを3つ解説します。

目標を共有する

訪問看護連携の際に意識するべきポイントの一つに目標を共有する事が挙げられます。

多くの職種が関わる訪問看護では、明確な医療ケアの目標を共有する事が大切です。目標が明確でないと連携している関係者の認識が異なり、患者さんに適したケアを提供できなくなる可能性も少なくありません。

また、連携している職種の方だけでなく、患者さんとその家族を含めた関係者全員の目標を明確にして共有していく必要があります。

タイムリーな情報交換を意識する

訪問看護連携の際に、タイムリーな情報交換を意識するのもポイントの一つです。

多職種連携では、患者さんの容体が急に変化した場合、情報を正確に素早く共有すると関係者全員が患者さんに合ったケアを素早く提供できるでしょう。

情報交換をする具体的な方法として、電話、メールやファックス、訪問看護サマリーや情報提供書などの方法があります。タイムリーな情報共有を行うために、誰にどの方法で情報を共有すればよいか確認、理解しておくとよいでしょう。

他職種の特性や役割を理解する

訪問看護師が意識するべき連携のポイントの一つに、他職種の特性や役割を理解する事も挙げられます。

よりスムーズな連携をするために、それぞれの職種の特性や果たせる役割などを詳しく理解する必要があります。1人の患者さんに対して何種類の職種の方が関わっているのかや各職種の得意・不得意分野を知っておくとよいでしょう。

また、訪問看護師として自分にどのような役割があるのかをしっかりと理解しておく事も大切です。

まとめ

本記事では、訪問看護における多種連携と精神疾患の患者さんにも多職種連携が必要な背景、訪問看護や精神科訪問看護がよく連携する職種、訪問看護師が意識すべき多種連携のポイントを解説しました。

訪問看護師の仕事に興味を持った方は、精神科訪問看護師募集サイト「ナースセブン」も合わせてご覧ください。ナースセブンでは「訪問看護ステーションALWAYS」に関する情報も紹介しています。

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